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(凛視点)
「凛っ!!聞いて聞いて!!私宗介と付き合うことになったの!!」
「は…?そう、なのか?」
嬉しそうに報告してくるるい。俺はずっとずっと一緒にいたじゃないか。ずっと傍にいていつでもお前を守って来たじゃないか。
確かに俺と宗介とるいとは佐野小時代のダチだ。でもまさかるいが宗介のこと好きだったなんて思いもしなかった。そんな素振り見せなかったじゃないか。
俺はずっとるいのことが好きだった。
再会して嬉しそうに笑ってくれるるいを見て、恋に落ちたってやつだ…。
「凛?」
「あ、あぁ。何もねぇよ。おめでとう」
「ありがとう!!」
ずっと俺の傍で笑ってくれてたのに、今日からは宗介の隣で幸せそうに笑うんだな…。
自分の中にドス黒い感情が流れるのがわかった。自分の中の色んなモノが崩れてしまう感覚に襲われた。笑顔が見られない訳じゃないのに、二度と会えない訳でもないのに、俺はどうしてこんなに悲しいんだろう。
「なぁ、るい。幸せか?」
「え?そんなの当たり前じゃん!!宗介も凛もまた再会できて、一緒にいられて、幸せじゃないわけじゃない!!」
あぁ、この笑顔だ。
この笑顔が見られるだけで、こんなに心が温かくなれるんだ。
俺は無意識かそっとるいの頬に手を伸ばしていた。
「宗介と幸せになれよ?いつでも話聞いてやるからな?」
「え、あ、ありがとう!!」
そっと手を伸ばしてみた伸ばした手は、俺の最後の悪あがき。
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