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宗介の肩のことをずっと知らなくて、それでも必死に泳いでる宗介を見て何故か涙が出たんだよ。
どうして教えてくれなかったの?

周りの目を気にしないで私は試合直後の宗介に抱きついた。
抱きついたと言うより泣きついた。の方が正しいのかもしれない。
試合に負けたことも、宗介のこと何も知らなかったことも、全部が悔しくて仕方ない。涙が止まらない私に宗介はそっと微笑んで抱きしめてくれる。それでも余計に涙が溢れて止まらない。

「るい」
「ヤダっ、離れ、ないっ」
「とりあえず外出ようぜ」

そっと肩を抱かれて会場の外に連れて行ってもらった。


「隠してたことは、謝る。悪い」
「…………」
「別に言いたくなかったわけじゃねぇんだぞ?」
「…………」
「なぁ、聞いてるか?」
「…………」

言い訳するわけでもなく、素直に謝られると何でか調子が狂う。

「悪い、心配かけたよな」
「……バカ」

バカ、バカ、バカ…。そのまま宗介の胸を叩いて少し怒りをぶつけた。
自分の無力さも、宗介のこと理解できてなかったことも、今宗介を謝らせてしまってることも。

「いつから……」
「1年の時に…な」
「どうして黙ってたの……」
「俺の少しの維持だ」
「そんなのっ」

後から知った方が私も凛も、他のみんなだって辛いよっ!!半分叫ぶかのように、みんなの気持ちを代弁した。

「私達はそんなに頼りなかった?そんなに信用できなかった?私だけなの?宗介の事信じてたのっ」

誰にだって言えないことの一つや二つはある。なのに怒りを1番辛い宗介に対してぶつけてきっと私は最低だ。そうは思っても口は止まってくれない。宗介に嫌われたっておかしくない、誰か止めてよ!!そう思った時、私の口は宗介によって止められた。

「そ、すけ…?」
「辛かったんだ。ずっとずっと、るいや凛に黙ってることも、日に日に痛む肩も、全部嫌だったんだよっ!!」
「っ!!」
「みんなには悪いことをしたって思ってるし、こうやって鮫柄に来て最後の夏好きに泳ぐって決めて来たのにっ、それでも肩の痛みは引かねぇしっ」
「宗介っ!!」

ごめんね、ごめんなさい…宗介の気持ち全然知らずに好き勝手言ってごめんなさい。
肩に負担のかからないように強く、強く抱きついた。




過去は見せないでよ





もう、1人で抱え込まないで…



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