弱虫ペダル | ナノ




箱学の自転車部は強豪と言えどたまにはオフの日もあって、今日はその貴重な一日だ。
やすくんはどこか出かけるゥ?なんて言ってくれたけどきっと疲れが溜まってるハズだと思った私はやすくんのお部屋に行きたい!と言うと少し顔を赤らめて了承してくれた。

きっと昨日急いで片付けてくれたんだろう、やすくんの部屋は綺麗に片付けられていた。
男子寮なんて入ること一生ないと思っていたのに、こうも簡単に入れるなんて思ってもみなかった。

「やすくん昨日片付けしてくれた?」
「ア?そんなわけないダロ」
「ふふふ、やすくんは綺麗好きなのかな?」
「ッセ」

部屋に入れてもらってから初めてやすくんに抱きついたらそっと抱きしめ返してくれるやすくん。
付き合ってすぐはきっとこうやってくっついたりするのは嫌がられるんじゃないかって思っていたのに、案外やすくんもくっついたりすることが嫌いじゃないらしく二人きりになるとくっついて過ごすことが多い。

「やすくん、卒業したらどうするの?」
「一応大学行く予定、琉唯チャンは?」
「私は…何も考えてない、かな」
「別にゆっくり考える時間は無いかもしんないけど、もうちょっと考えてもいいんじゃナイ?」

やりたくないことやっても仕方ないしねェ。と言ってくれるやすくんはきっと大学に行っても大好きな自転車を続けるんだろうな。
昔の話は聞かせてくれないけど、でも挫折して道を間違えたことがあったのは聞いたことがあった。とだけは聞いたことがあった。
あの時のやすくんは少し苦しそうだったからそれ以上は詮索しなかったけど、きっとかなり苦しかっただろう。

「やすくん」
「ん?」
「私やすくんと結婚したい」
「ハァ!いきなり何言ってんダヨっ」
「今したいことってそれしか浮かばないんだもん」

それ反則ジャン、と言ってやすくんにそっと唇を塞がれた。




恋する乙女は夢見たがり




「それは俺も一緒ダヨ」
「本当っ!!?」
「本当」
「ふふふ、やすくん大好き」

こんな話でもちゃんと聞いてくれるやすくんのことを私は思った以上に好きみたいです。




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