弱虫ペダル | ナノ




箱学で東堂くんのことを知らない人はきっといない。
ファンクラブもあるほど人気の彼と、何も取り柄のない私がどうして付き合えたのか…未だに疑問でしかない。
それでも周りに明かすことはなかった。知ってるとしたら自転車部の荒北くんと新開くんと福富くんくらいだった。
東堂くんは奴等は信頼できる人物だ!困った時は頼るといい!なんて言って私に紹介してくれたけど、こんな時どうすればいいのでしょうか。

毎日毎日東堂くんはたくさんの女の子に囲まれてしまって私は全く近寄ることはできない。
そんな毎日に少しずつモヤモヤしていた。

友達や周りの子を見ていると彼氏とデートなんだ!とか言って毎日楽しそうなのに、私は一体何をやってるんだろう。
そんなことを一度考えてしまうと常にマイナス思考になってしまう。

「どうしたんだ?尽八の方見てため息なんて」

いつものように東堂くんを遠い所で見てため息をつくと後ろから新開くんに声をかけられた。

「新開くん…」
「俺でよかったら聞こうか?」
「うん…あのね」

優しく声をかけてくれた新開くんに甘えてポソポソと本音を伝えていると段々悲しさが増してきて、そういえばどうして東堂くんは私の告白にOKしてくれたのか本当にわからなくなってきて気がついたら頬に涙が伝ってきた。

「そっか、それなら本人に聞くといいよ」

とソっと涙を拭って席を立ち上がったと思ったら後ろから腕を引かれた。

「琉唯っ!何があったのだ!?新開に何か言われたのかっ!??」
「と、うどうくんっ」
「人聞きが悪いな、尽八」

彼女が悩んでるそうだぞ。と告げて新開くんはどこかに行ってしまった。

ちょっとこっちに来てくれ。とそのまま東堂くんに腕を引かれたまま歩きだした。
どうして泣いてるのがわかったの?とかどこに行くの?とか聞きたいことはいっぱいあるのに、泣いてしまっていたことに気づいてくれた東堂くんの優しさにまた涙が溢れて、前を向けないでいた。

しばらく歩いて入ってくれ。と言われた時にやっと顔を上げれた時には自転車部の部室にいた。



prev next
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -