弱虫ペダル | ナノ




中学の時から福富くんのことが好きだった。
箱学を選んだ理由も福富くんと幼馴染の隼人が受けると聞いたから私も箱学に行くことにした。

隼人繋がりで仲良くなって、何事にも必死に頑張る福富くんを見て私はいつしか恋に落ちた。
高校に上がって隼人のことがあってか、よく話す機会も増えて私は有頂天になっていたのかもしれない。
そんなある日福富くんに気持ちを打ち明けると部活に集中したいから。と断られた。
仕方ないとも思っていたのに、やはり失恋というのは悲しいモノで、空き教室でひっそり涙を流していた。

「おめさん、泣いてるのか?」
「はや、と…」

隼人はいつもそうだ、こうやって小さい頃から隠れて泣いてるとどこにいても駆けつけてくれる。

「寿一に聞いたよ」
「そっかぁ…」
「それで泣いてるのか?」
「んー、そう、かなぁ」

わかんないけど涙止まらないんだ。と言うと隼人はそっと後ろから抱きしめてくれた。
別に隼人に対して気持ちがあるわけじゃないけど、こうやって抱きしめてくれることが自然と嫌じゃなかったし、寧ろ落ち着く。

「隼人っ」
「ん?」
「私最低かもしれない…」
「どういうことだ?」
「隼人が、福富くんだった、ら…いいのにって、思っちゃった…」
「いいよ、今はそれでも」

だから早くいつもみたいに笑ってくれよ。と言ってくれる隼人に私は完全に甘えてしまってるのはわかってる。
それでもこうやって慰めてくれる隼人の傍が心地良くて仕方ない。



彼があなただったら



本当の気持ちに気づくまで、もう少し。




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