弱虫ペダル | ナノ




荒北に告白されたのはついこの間のことで、初めは少し戸惑った。
同じクラスになって、隣の席になって何故かよく話すようになって、気がついたら仲良くなってたクラスメイトとしか思ってなかった私にはいきなりのことで本当に戸惑ったけど、私は荒北のあまり見せない優しさを知っていた。

お昼休みに中庭に遊びに来る猫にご飯をあげたり一緒に遊んだりしてるのを見た時は本当に驚いたけど、福富に聞いた話じゃ中学生の時に色々あったとか…

入学式の時のあのリーゼントには正直引いたけど…

それでも私に好きだ。と顔を真っ赤にさせて言ってくれた荒北はいつもと違って少し優しい表情をしていた。
私ももっとみんなの前と違う荒北を見たい。と思ってよく目で追っていたことも事実で荒北と同じように顔を赤くしてお願いします。と返した。


付き合ったとは言え前までと何も変わらない。
荒北も部活で忙しいからデートはもちろん、放課後一緒に帰ったりすることもなかった。
私が時々部活を覗きに来てみんなと話して暗くなる前に帰るのが当たり前だった。
練習でも必死で頑張る荒北を見るだけで満足してしまってる。と言ってもおかしくなかった。

「じゃあ私帰るね」
「いやいや琉唯!今日は最後まで見て行きたまえよ〜」
「…どうしたの?東堂?」
「いつもさっさと帰ってそまうのでたまには最後まで見て行くといい、と言っているのだよ」
「でも…」
「いいんじゃないか?なぁ寿一」
「あぁそうれがいい」

じゃあお言葉に甘えて…と一度上げた腰をもう一度ベンチに下ろした。
遠くで真波くんと話していた荒北を見ると少しやる気を出したのか、またバイクに乗って走り出した。



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