弱虫ペダル | ナノ




「俺はズット琉唯チャンといるからネ」
「わ、私も靖友といるよ!!」

そう言って笑い会ったのは一体いつのことだっただろう。
お互いそう言って誓いを立ててお互い違う道を歩き始めたものの、初めのうちはちゃんと連絡を取っていたものの、靖友も私も新たな生活に慣れれずにいてすれ違いも多かった。
休みの日はいつものようにビアンキに乗ってうちまで来てくれてた。
少しの時間しか過ごせなくってもそれでも幸せでたまらなかった。

なのにいつも間にか靖友からの連絡は途絶えた。

初めは忙しいのだと思って毎日毎日鳴らない携帯を眺めて過ごしていたけど、いつからか靖友との関係の終わりを告げられてる様な気がしてそっと涙を流しながら靖友の連絡先を消した。
もちろんその後も靖友らしき人から連絡が入ることはなかった。


箱学を卒業してもう4年になる、私たちは大学の卒業を控えていたある日、自転車部のキャプテンだった福富くんから同窓会をしないか?と言うお誘いが来た。
正直靖友に会いたくなくて初めは断っていたけど、福富くんは荒北は来ないぞ。と言ってくれたので渋々参加することになった。

こうやってみんなと揃って会えるのは卒業式の日ぶりだった。
あの頃は靖友も一緒にいて、楽しい毎日を送っていたのに…なんてしおらしくなっている私はきっと靖友のことを忘れられていない。
本当は靖友に会いたかったハズなのに、会いたくない。なんて言ってしまって正直後悔してる反面どんな顔をして会ったらいいのかわからなくて安心したのも事実であった。


「みんな久しぶり!!」
「おう、琉唯久しぶりだな」
「元気にしていたか?」
「うん!変わらず元気だよ!」
「そうか、ならよかった」

久しぶりに会った過去の仲間はまた一段と成長しているように思えて見た目は別人だと思ってしまったけど、やっぱり中身はあの頃のままだった。

「泉田くんと真波くんは?」
「あぁ、あいつ等は用事があるとかで遅れるそうだ」

そっか。と言ってなんとなく新開の隣に座った。
もしここに靖友がいてくれたら迷わず隣に座っていたからいざとなるとどこに座ったらいいのかわからなくなった。
こうやってみんなと集まっているのになんでこんなに靖友のことばかり考えてしまうのだろう。やっぱり会いたかったなぁ…。

そうふっと頭の中で考えながらみんなと話しているとなんだか外が騒がしい。

「なんか外騒がしくない?」
「まぁ居酒屋だからな」
「あー、そうだね」

そう言って気にせず話をしていると聞き慣れた声が聞こえてきた。

「ちょっと、もう諦めてくださいよっ!」
「ッセ!帰るったら帰るんダヨっ!!」
「まぁまぁ、もう着いちゃったんだし入りましょうよー」
「だーかーらー、離せつってんだよ!!」

忘れるわけない。大好きでいつもどこにいても誰よりも早くわかる程大好きな声だ。
もちろん今でも。

「ちょっと、福富…外、あの…」

靖友がいるんじゃない?と聞こうとしたのと同時に個室の扉が開いた。
そこには泉田くんと真波くんに腕を掴まれてる靖友がいた。




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