弱虫ペダル | ナノ




小さい頃から一緒にいて誰よりも近い存在だと思っていた彼に恋をしたのは一体いつからだったのかな。
私がこんな気持ち抱いてること貴方は知らないんだよね。
知ってるわけないよね、これは知られたくない私の内緒の気持ち。

「琉唯!聞いてくれ!昨日のレースの成績が上がったのだよ!」
「やったじゃん!どんどん調子上げて行くじゃん!」
「はっはっは!やはり俺は最強なのだ!」

こうやってレースの結果聞いてはいるけど、実際レースは欠かさず見に行っているから尽八の調子の良し悪しは知っていたけど、こうやってレースの話を聞くのは寧ろ好きだから何も言わない。
毎回レースの度に見に行ってて、荒北にはバレてしまっていてお前も良くやるよな。なんて言われたけど、幼馴染みだからね。と誤魔化して過ごして来たけど、こうやって誤魔化して来たことを私は凄く後悔することになる。



「琉唯、俺は今日気になっている子から告白されたのだ!」
「えっ…」
「正直驚いて返事をできなかったが、受けようと思うのだ…」

少し顔を赤くしてどう思う?なんて聞いてくる尽八の顔が見られない。
いつも近くで過ごしてきて、こんな顔を赤くして照れた表情をした尽八は見たことないし、こんな話も聞いたことだってなかった。

やめてよ。私から尽八を奪わないでよ。
正直に尽八に好きだって言っていればこんな辛い気持ちになることはなかったの?

「どう思う?彼女はいい子か?」
「さ、さぁ…私はちょっとわからないか、な…」
「うむ、こんな話は琉唯にしか聞けないと思ってな」
「っ!」
「琉唯は良き幼馴染みだからな!!」

尽八の顔が歪んで見える…。
良き幼馴染み、この言葉がこんなに苦しい気持ちになる日が来るなんて。
前までならその言葉が何よりも嬉しかったのに、どうしてこんなに涙が出てくるんだろう。

「ん?どうした?」
「いやっ、なんにもない…よ」
「なら何故下を向いているのだ?」
「何にもないってばっ!」

下を向いてる私の顔を覗き込もうとしてきた尽八の腕を振り払って、その場にいたくなくて走り出した。

嫌だ、嫌だ、嫌だ。
私から尽八を奪わないでよ!
ずっと小さい時から良い幼馴染み、良き尽八の理解者でやってきたじゃない。
なのに、どうして貴方の隣にいれるのは私じゃないの?

流れてくる涙をぬぐいながら私は宛もなく走り出した。




君は誰を愛した?



ねぇ尽八、もし違う形で出逢っていれば貴方は私を愛してくれたの?




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