弱虫ペダル | ナノ




日本を旅立つ日、琉唯に別れを告げられてから俺の心は空っぽだった。
前日まで前みたいに笑い合ってたのに、まさか当日に別れを告げられるとは思っていなかった俺はどうしたらわからずにいた。

そんな気持ちを引きずっていると金城から自転車部の同窓会をするから来ないか?と言う誘いのメールだった。
そういえば最近日本にも帰ってなかったし、丁度いい機会だと思ったし、それに…琉唯に会えるかもしれない。と言う少しの期待を抱いてイエス。と返事を返しておいた。

あの日から5年は経っていて久しぶりの日本はとても懐かしく感じた。
集合時間まで少し時間があったので懐かしい風景を堪能しようと街を歩いたが、思い出すのは琉唯のことばかりで、一緒にこの道を歩いたな。なんて思ってる俺は女々しすぎてどうにかしちまってるんじゃないかと思った。

イタリアに行っても、どんだけ綺麗な女と出会って迫られたっていつも考えるのは琉唯のことばかりだった。
キラキラした笑顔も泣きじゃくった顔も拗ねた顔も全部あの頃のまま離れなかった。
俺はこんな琉唯のこと思っていたのかと笑いがこみ上げてくるくらいだ。


集合時間になって待ち合わせ場所の居酒屋に着くとみんなはそろっていたようで1番に小野田が飛びついてきた。
相変わらず俺に懐いてるのは変わらないみたいだが、今会いたいのはお前じゃない…。

小野田を振りほどいて辺りを見渡せば琉唯はいなかった。
やっぱり来てないのか。とため息を着く。

「琉唯なら遅れて来るそうだ」
「なっ!!」
「巻島分かりやすすぎだぜ!!」
「別にそんなこと言ってないッショ!!」

金城と田所っちに言われて少し焦ったが、少しホッとした自分もいた。
金城曰く俺がここに来ることは琉唯には言っていないようだ。
俺を見てあいつはどんな顔をするのだろうか。あの日別れた時みたいに泣きそうな顔で俺のことを見てくるのだろうか。




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