弱虫ペダル | ナノ




高校生になってお昼ご飯の時間がとても待ち遠しくなった。
隼人と付き合うようになってからは尚更だ。
部活で忙しい上に寮に入っている隼人とは一緒に過ごす時間はとてつもなく少ない。
ほとんど無いと言ってもおかしくない。そんな時に隼人から昼休みは一緒にご飯を食べよう。と言ってもらえた時には宙に浮かんでしまう程嬉しかった。
お昼休みのチャイムが鳴ると飛んで行くように教室を飛び出すといつもの様に隼人は中庭で待ってくれている。

「隼人っ!お待たせ!!」
「いや、俺も今来たとこだ」

どんだけ私のクラスの授業が押して隼人を待たすことになってもこうやって笑顔で待ってくれて、待ってないよ。と言ってくれる隼人に本当にいい彼氏を持ったと心から言える。

「琉唯今日はカフェテラスで食べないか?」
「え?いいけど…どうしたの?」
「いや、なんとなくな」

そっか。と言うと行こうか。と手を取ってくれて歩き出した。
こうやって歩くことも無いから少し恥ずかしい気持ちもあるけどそれに上回って幸せな気持ちでいっぱいになる。

普段あまり使わないカフェテラスは生徒がたくさんいて人に埋もれてしまいそうだ。

「あぁ、靖友!寿一!」

隼人が声を上げた先には福富くんと荒北くんがいて2人の前に隼人が座ったのを見て戸惑いながらも私も隼人の隣に座った。

「悪い琉唯、俺ちょっと飯買ってくるわ」

寿一、靖友ちょっと席外すな。と言って隼人は行ってしまった。
隼人と付き合うようになったから自転車部のみんなと顔を合わせることはあったもののちゃんと話すことはあまりなかったからか、すごく緊張している。
福富くんはまだいい噂は聞くものの、荒北くんは正直怖い…。
隼人はいい奴だよ。なんて言ってくれるけど、私は正直苦手だ。

「あー、あのヨォ」
「は、はいっ!」
「んな固くなんなヨ」
「あ、ごめん…」
「あの、アリガトネ」
「えっ?」

いきなりお礼を言われた上に何に対して言われているのかわからなくなって戸惑った。

「あいつがあんな笑えるようになったのは琉唯のおかげだって言ってたからヨ」
「っ!」

確かに私と付き合う前の隼人は部活で何かあったみたいで、今でも理由は知らない。
でもウサ吉のとこに行く度隼人はとても苦しそうな顔をしてるから、きっとウサ吉関係で何かあったのだってことはわかってた。
そのことに対しては隼人が話したくなるまで聞かないでおこうとは思ってずっと過ごしてたけど、そう言われてみれば最近隼人はよく笑ってくれるようになったと思う。

「私は…何もしてない、よ?」
「ア?」
「理由は知らないけど、隼人が変わったのは隼人自身だし…本当に私は何もしてないよ?」
「そんなことはないぜ」
「っ!」

荒北くんに自分の気持ちを伝えていると後ろから隼人に声をかけられた。

「隼人っ」
「俺を変えてくれたのは琉唯、おめさんのおかげだからな」

へへっと笑ってくれる隼人に私も自然と笑顔になる。




昼さがりのカフェテラス


「こいつ等俺らの存在忘れてナァイ?」
「うむ、新開の普段見れない笑顔を見れたから良しとしよう」
「福チャン……」





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