弱虫ペダル | ナノ



走っているときの荒北は風のように早くていつも一瞬しか見ることができないけど、それでもその一瞬の為に暑くてもゴールで待っていることが幸せでたまらない。
友達にはあんたには欲が無い。とも言われたけど幸せの形なんて人それぞれだと思う。

「荒北、お疲れ様」
「お、おう…ありがとネェ」
「あの…その。カッコ良かった…よ?」
「ッバ!…こんなとこで言ってんじゃネェヨ…」

手渡したタオルをひったくる様に受け取って汗を拭う。
改めて見ると細身なのにしっかり筋肉のついた腕や胸に少しドキっとした。

なんだか同級生には感じられないフェロモンの様なモノを私はしっかりと感じ取ってしまった。


「あ、らきた…その、また遅くまで練習見てもいいかな…」
「あ?あー…イイヨォ」

ふふ、ありがとう。と告げると遠くでニヤニヤしながら私達を眺めている東堂と新開と目が合った。

「なによ、気持ち悪い…」
「いやぁ、何もないぞ琉唯。そうだ、荒北今日はもう上がるのだろう?琉唯のこと送ってやるといい」

なっ!と目を見開いてる荒北をそのままにお疲れー。と先に部室に帰ってしまった。

「えっと…荒北?私一人で帰れるし、大丈夫だよ?」
「んな無責任なことできっかよ」

ちょっと待ってろ。と言って荒北も部室に戻った。
きっとこのまま何も言わずに帰ったら荒北は血相を変えて私を追いかけてくるような気がしてその場でおとなしく荒北の着替えを待つことにした。
東堂はこれを狙って残ることをすすめたんだろうなぁ、やられた。

いつか教室で友達と荒北のことについて聞かれた時に何も変わりがない。と言ったのをもしかしたら聞いていたのかもしれない。



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