弱虫ペダル | ナノ




「あのさ、あの時は…ゴメンネ」
「っ!何のこと…?」
「しらばっくれるなって」
「別にそんなんじゃないよっ」
「俺さァ、必死で頑張って早く余裕できたら琉唯と過ごせる時間増えるんじゃないかって思ってたワケよ」
「うん」
「そしたら…その、連絡できなくって…」
「うん、いいよ」

靖友も必死に頑張ってたんでしょ?と私の中で必死に笑ってみるけど、私は今笑えているのか。とも疑問に思ってしまう程顔の筋肉は強張っていると思う。
気にしてない。なんて嘘だ。本当はなんで連絡くれなかったの?と何度も聞きたかった。
それでも連絡しなかった私にも非があったからそんな風に靖友を責めることもできなかった。

「いいんじゃない?これが私達だったってことで…」
「俺はさァ、そんなこと思ってないんだけど?」
「えっ?」
「俺ァなァ、琉唯のコトずっと忘れられねェで引きずってんダヨ!悪りィかっ!!」
「ちょっと…」
「確かに俺が悪いのもわァってるつもりだけどよォ、忘れられねェモンは仕方ネェだろっ!!」
「ちょっと落ち着いてよ!なんで靖友が怒ってんのよっ!」

アルコールが入ってるせいか急に頭に血が昇ってしまったみたいな靖友を抑えようとそっと腕に手を添えようとすると、その私の腕を靖友の手に掴まれてスッポリの腕の中に収まってしまった。
久しぶりの靖友の感覚、あの時よりも筋肉の付いた身体、匂いは相変わらず私の大好きな落ち着く匂い。
あの時と変わらない靖友の腕の中に否定したい気持ちと、このままこうしていたい。とも思ってしまっている自分との戦いだった。

「靖友…」
「$name2#…好きなんだよォ、ずっと…あの時から…何も変わっちゃいねェ」



今も君を忘れはしない



「また…俺の傍で笑っててよ」
「うんっ、靖友…」
「ありがとネェ…琉唯好き…」

こうやってちゃんと気持ちを伝えてくれて、私の中にあった大きな穴は靖友の一言でしっかり埋まってしまったようだった。





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