「もう、どうしたらいいのぉ?」
どれだけ拭いても拭いても涙は止まってくれない。
今まで我慢して靖友に何も言わなかったからかな。
こんなに後で苦しくなるなんて思ってもなかった。
「だそうだ、靖友」
「っ!やす…とも?」
「こォのバァカチャンがァ!!!」
新開が微笑んで靖友の名前を呼ぶと部室の扉が開いてそこには逢いたくて仕方なかった靖友が立っていた。
「なんで…」
「お前が返事よこさねェから心配したんだろォがっ!!」
「荒北落ち着け。ここはうちの部室だぞ」
「なっ、悪い福ちゃん…」
「靖友っ!!」
部室に入ってくるなり怒鳴り散らして来てそれを止められる靖友を見るのは本当に久しぶりで私は福富も新開がいるのに靖友に抱きついた。
「やす、ともォ」
「っ!泣くんじゃねェよ」
「じゃあ俺たちはちょっと走ってくるから後はおめさん達で話な」
他の部員はしばらく来ないからな。と2人は走りに行ってしまったが、私は靖友の胸から顔を上げることができないままいた。
「俺に言いたいことは?」
「……ごめんなさい」
「よろしい。でも俺もごめん」
ぎゅっと背中に腕を回してくれた靖友からは靖友の匂いと共に少し汗の匂いもしたから、きっと急いで来てくれたんだろうな。と思うと更に愛おしく思った。
「俺、自分のことしか見てなかったし、琉唯なら耐えてくれるんじゃないかって…ちょっと甘えてたのかもしれねェわ」
「甘えてくれたって…いいのに」
「甘えた結果がこれじゃねェか!バァカチャンがっ!」
「ごめん…」
「俺が言うことジャないかもしれねェけど、俺は琉唯から離れたりしねェから…よ」
「うん……」
「俺こんなこと言うタイプじゃナイから上手く言えるかわかんないけどォ、俺は離れてても琉唯のことチャァンと好きだから…ちゃんと文句も言ってヨネ」
「やすっ、ごめんなさいっ」
靖友の服を濡らしてしまっているのはわかってるハズなのに、こうやって靖友が会いに来てくれて欲しい言葉をくれて、忘れてしまいそうな温もりを感じられて、もうそれ所じゃなかった。
涙なんていらない「福チャンや新開のこと頼る前にちゃんと俺に言って来てネ」
「うん…靖友好き…」
「っ!俺もォ」
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