弱虫ペダル | ナノ




昔の話をして盛り上がっていると個室の扉が開いた。
扉の方に目を移すと琉唯がそこに立っていた。
あの時よりずっと綺麗になって、ずっと可愛くなって、ずっと大人っぽくなっていた琉唯を見て正直驚いた。

「ごめーん!遅れちゃって!!」
「おー!琉唯さんやないですか!!待ってましたよ!!」
「おう、琉唯仕事だったんだろ?お疲れ」
「ありがと!てかみんな久しぶりだ…ね」

いつものように笑顔で話してる琉唯が周りに目を配らせていると俺と目が合い。言葉が止まった。

「私、帰る」
「ちょっと待てよ!そんなこと言うなって!!」
「そうだぞ、みんなも琉唯の到着を待っていたんだ」
「う……」

金城を田所っちに言われて渋々俺からは遠いところに座り、気まずそうに周りと話す琉唯を見て少し罪悪感を覚えた。

俺はいつから琉唯にこんな顔をさせるようになったのだろうか。
確かに何の相談もなく留学を決めてしまい、ギリギリまで告げなかった上に別れないなんて、俺のワガママを押し付けた。
だがその結果、琉唯の気持ちも考えなかったからあの日辛そうな顔をさせてしまった。自業自得だ。


「巻島、琉唯が気分が悪いそうなので介抱してやってくれないか?」
「っ!なんで俺なんッショ!」
「俺は小野田達の方を見ないといけないからな」
「っ!!」

そう言われて仕方なく琉唯の元へ行くとグッタリしていた。

「琉唯水飲むッショ」
「ゆ、う…すけぇ?」
「あぁ、ほら飲むッショ」

俺の顔を見て目を見開いたが、そっとグラスを受け取って水を飲み始める。
それでもグッタリしている琉唯を見て外の空気でも吸うか?と尋ねると小さく頷いたので肩を抱いて外に連れ出すと店の外のベンチに腰かけた。

夜になると少し肌寒いが酒が入って火照っている身体には心地よかった。




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