「ねぇ純」
「あ?」
「純は…好きな子とかいる?」
はぁぁぁぁぁ?!と叫んで立ち上がった純の顔は心なしか赤くなっていた気がした。
「もう、うるさいってば」
「んなこと言ったって、よぉ、お前が変なこと、言うからじゃねぇか…」
「ごめん……」
普通に考えたら逆の立場でもきっと驚くと思う。
今まで一度だって純に好きな子がいる、とか付き合ってる人がいる、なんて聞いたことがなかったから。
こうやって聞くこともこの先きっとないと思うけど、急に聞きたくなった。
もしそれが自分に向いているものじゃなくても、それでもどうしても聞きたくなった。
「ねぜ、真剣に答えて」
「マジでお前どうしたんだよ」
「私には言えない?」
「……今はそんなこと気にしてる余裕はねぇよ」
「そっか」
真面目な答えをくれた純に対して私は一体何を聞いてるのだろう、とバカみたいに思えてきた。
「純に彼女できたらこうやって2人で話すのも許してもらえないんだろうなー」
「バーカ、んなこと気にしてんじゃねぇよ」
ふふふ、と笑って純と同じように自分のベットに座ると2人分の重さのかかったベットは更に沈み昔こうやって2人で買ってもらったばかりのベットで飛び跳ねて遊んだことを思い出して軽く座って飛び跳ねてみる。
「ガキかよ」
そう言って笑って言った純も私と同じように少し跳ねてみせた。
帰省してきて、こうやってゆっくり純と話せて、聞きたいことも本心ではないかもしれないけど純の気持ちも聞くことができて、またこうやって時間も気にせずゆっくり過ごしたい。なんて思ってしまって明日には帰らないといけないことを考えると少し寂しくなった。
「純…今日泊まって行かない?」
「っ!!お、お前何言ってんだよっ!!」
「まだ、純とこうしてたい」
「ルイ…」
きっと傍から見たら恋人同士にしか許されない会話かもしれないのに、私はこうやって純にワガママを言ってきた。
ぎゅっと純に抱きついて告げてみるとポンっと頭を撫でて仕方ねぇな。と言って笑ってくれた。
ほら、こうやって純はいつでも私を甘やかせてくれるでしょ。
ワガママを何一つイヤそうな顔をせずに聞いてくれるのは今も変わらない。
それからいつものように小さなベットに一緒に入って私は純にくっついて眠った。
とても懐かしい夢を見た、毎日純と一緒に過ごしていつも一緒で楽しかったあの時の夢。