いつもの場所でいつものように練習を眺めていると心無しか純の調子が悪いように見えた。
片岡先生に怒鳴られて、哲くんにも注意されていた。
いつもなら大丈夫?と声をかけられるのに今日は別だ。
今まで純に無視されたり避けられたりしたことはなかった訳じゃないけど、中学生に上がってすぐに純のお姉さん曰く恥ずかしくなって私を避けたとか…。

でも今回はそんな理由じゃないのはわかってた。

いくら考えても理由が思いつかなかったけど、日向さんとの噂のせいだったら…とか思ったけど純が…?そうなら嬉しいんだけど、こんなことは私の自惚れだ。

早く純と話したい。
純に避けられるのは苦しくて仕方ないよ、純…。


目の前の練習風景をボーっと考え事しながら見ているとやはり純のことばかり目で追っていて、いつの間にか視界がボヤけてきてちゃんと純の姿を見ることができなくなって、制服の袖で溢れそうな涙を拭いても次々溢れ出てきて誰にも見られたくなくて膝を抱えて小さくなった。

最近純のことになると涙腺がすごくゆるい気がする。
こんなことで泣いてばかりでまた純や哲くん達に迷惑かけちゃうんじゃないかって思うとその場にいることが辛くなって、家に向かって歩きだした。

亮くんには体調が悪くなった。と連絡を入れて家に着くなりベットに倒れ込んだ。
1人になってまた純のことを考えて涙が止まらなくなった。

気付くとそのまま眠っていたみたいで、枕元に置いていたケータイがブーブーっと鳴ったので画面を見ると"着信 伊佐敷純"と映っていていきなりのことで驚いてつい電話に出てしまった。

「純っ!!」
「っ!んだよ…元気そうじゃねェか…」
「え?あ、あの…どうした…の?」
「今お前の部屋の前にいるからさっさと開けてくれよ、近所の人の目が痛てぇ」

嘘っ!と言ってケータイを投げて玄関に走って向かいドアを開けるとケータイを耳に当てて私の部屋の前に純が立っていた。

「じゅ、ん…」
「よぉ…」

とりあえず上がって?と言って部屋に通して座ってもらったのはいいが、純は何も話さずにジッとしたままだった。

聞きたいことはたくさんあるのに何か話そうと思える雰囲気でもなかった。
チラっと時計を見るともう時計は21時を指していた。

「純っ!門限っ!!」
「あ?いいよ、んなもん」
「そんなもんって、ダメだよ!そんなことしちゃ」
「いいってんだろ!」
「わ、かった…」

こうやって純が声を荒げる時はイライラしてる時だけだったからいつもは引き下がろうとしないのに、素直に引き下がってしまった。


純、一体どうして私の所に来たの?
散々私のこと避けてたじゃない。

もう純がわからなくなってきたよ。

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