それと同じくらいの時期に純が投手から外野手に転向したことを聞いた。
ここで生き残るにはこうするしかなかったんだよ。なんて言う純は悔しそうに、そして少しの期待を抱いている顔をしていた。

「スピッツらしく外野で吠えてみんなのムードメーカーにならなきゃね!」
「だからスピッツって言うんじゃねェ!!」
「でも、純らしくて私はいいと思うよ?」
「お、おう…」
「頑張れ、純」
「おう」

そうして結城くんに続いて純も1軍に入れたと聞いて私はすごく安心した。
1軍に入れたことによって自主練にもっと気合いが入っているように思えた。

「ルイ聞いてくれよ、この前哲がよォ」
「えっ!何それ!!純いつの間に結城くんのこと名前で読んでたの?」
「あ?いいだろぉが、そんなこと」
「いいなー、仲間!って感じで!!」
「なら神谷も名前で呼ぶといい」
「えっ!!いいの!?じゃあ哲くん!!」
「あぁ、それでいい」
「なーに楽しそうにしてんの?」
「あっ!小湊くん!!ねぇねぇ、小湊くんのことも名前で呼んでもいい?」
「別にいいけど、今日なんか楽しそうだね。純を除いて」
「あぁ?俺はいつもと変わんねェよ」
「ふふふ、ヤキモチ?」
「うっせェ!黙ってろ!!」

私は野球部ではないのに、こうやってみんなと仲良くできることが実はとても楽しくて仕方なかった。
哲くんも亮くんも仲間思いで、一緒にいて本当に楽しい、楽しくてたまらない。

私だけかもしれないけど少し仲間意識を持ってしまっていたのかもしれない。
それでも純は毎回試合も練習試合も日程を絶対に教えてくれる。

「あんた、本当伊佐敷とか野球部といるとき楽しそうに笑うよね」
「だってみんないい人だもん!!」

同じクラスのあおいちゃんに声をかけられる。
高校生になって初めての女の子の友達、時々口が悪いけど本当はとても優しい子だね、なんて言ってしまうと叩かれる気がするから絶対言わない。

「きっとあおいちゃんもみんなと仲良くなればわかるよ!」
「いや、周りの女子の視線が痛すぎるから遠慮しとく…」

なにそれ。と聞くとあんたは鈍感だから。と言って次の授業の準備を初めてしまう。

この時のあおいちゃんの言葉を理解してたらあんなこと起こらなくて済んだのかな。



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