あの日からたまに練習を見に行くようになって段々周りの人と仲良くなってきて、練習試合や試合にもよく呼ばれるようになった。
もちろんあの東さんにも、気に入ってもらえた。とは言えないがよく話してもらえるようになった。

「おー、神谷やんけ、また見に来とんのかい」
「東さんお疲れ様です!はい、お邪魔してます」
「お前も大変やのぉ、アイツ等大変やろぉが」
「大変とは…?」

なんや知らんのか?と続けられた東さんの言葉に私は心臓が止まりそうになった。
失礼しまう。と一言声をかけて私は走りだした。

−なんや知らんのか?今年の1年、不作の年言われとんねん。

そう東さんに言われ居てもたってもいられなかった。
不作?みんなあんなに頑張ってるよ、結城くんをはじめとする1年全員頑張ってるのに、不作なんていわないでよ。
気がつくといつもの練習場所に来ていた。

「じゅ、んっ!!」
「あー?ルイどーしたんだよ、すっげぇ怖い顔してんぞ」
「うるさいっ!!それより、知ってるの?」
「何がだよ」
「不作の年…って、言われてること…」

これを純に伝えてどうなるんだろう。
負けず嫌いの純のことだから、負けん気を出してもっと頑張ってくれるかも。なんて思う自分もいれば、純を傷つけてしまったかもしれない。なんて後悔してる自分もいた。

「知ってるよ…そんなこと」
「知って…るって、でもっ!!純もっ!みんなもっ!!」

こんなに頑張って自主練頑張ってるのに!と言おうとした私の言葉は純によって言えなかった。
純が私の身体をそっと抱きしめてきたから。

「じゅ…」
「泣くな。俺は負けねェって約束したろーが」

自分では気がつかなかったけど私の頬には涙が伝っていて、それに気がついたからかそっと小さい子をあやすように順は優しく抱きしめてくれた。

「でも、みんな…こうやって、練習…」
「今はまだ、先輩達にもギャラリーにも好き勝手言わせとけばいいんだよ。ゼッテェ見返してやっから、待ってろ」
「うん…わかった」

でもね、悔しい。と言うと俺もだよ。と純が続けた。

知ってるよ、純が投手を諦めて外野手に変更しないか?と言う言葉がかかってること。
きっと純は私には言ってくれないことわかってた。小湊くんに知らされなかったらきっとずっと知ることなかったと思う。

きっと悩んでるんだと思う。それでも私に相談してこないのは、本気で生き残るための選択肢をわかってるからなんだよね?

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