一也が練習に出て行ってしばらくして私は景にメールを送った。
【話があります。少し時間作れますか】
送ってまるで待っていたかのようにすぐに電話がかかってきた。
「ルイっ!!!お前どこにいるんだ!!」
「場所は言えないけど…今から家行くね」
そう言って電話を切って一也にもメールを送っておいた。
やっぱり景に会ってくるね。ちゃんと終わらせてくるよ。ごめんなさい。
1日帰らなかっただけなのに部屋に帰ってくるのはとても久しぶりな気がした。
合鍵で慣れたように部屋に入ると景が飛んできた。
「ルイっ!!!スッゲェ心配した…」
「景…ごめんね」
「何謝ってんだよ!さぁ、中に入って」
「入らないよ、ここで話そう」
そう言って部屋には入ろうとしない。このまま部屋に入ってしまうときっと何かされてしまうから…。
「何…言ってんだよ」
「景、私たち別れよ?」
手も身体も震えて力が入る。
きっと声も震えていると思う…でも、私はここで終わらせないといけないんだ。
一也とこの先笑って過ごすために。
「何…言ってんだよ」
「このまま、一緒に…いても……私たちダメだよ」
「そうやってお前は御幸のとこに行くつもりか?」
「……」
「黙ってるってことはそういうことなんだろ?」
「そうじゃなくっても私は景から離れるよ」
真っ直ぐ、私の決意と同じように景の目を見てハッキリと言う、もし手を挙げられたって構わない。
「…る、ない」
「えっ?」
「許さない許さない許さない許さない…俺から離れて御幸一也のとこに行くなんて絶対に許さない。お前は俺のモノだ、絶対許さないっ!!!」
そう言いながら景の手は私の首に伸びてきた。
すごい力で私の首を締め付ける。それでも景はずっと笑っていた。
段々意識が遠くなって行く気がした。
(一也…ごめんね)
最後まで一也の言うことを聞かなかったからこんなことになったんだ。
あの日一也に私がちゃんと景と話をする。と言うと血相を変えて止めてきたのに…こうなるって一也はわかっていたのに…何も聞かないで……でもあの時の優しい景がちゃんといるって思ってしまったから、大丈夫だなんて思ってた私がおかしかったのかな?
もう…優しかった景はどこにもいないの?
(…っ!!!………ルイっ!!!)
意識が途切れかけた時に一也が私の名前を叫ぶ声が聞こえた。