目が覚めると景はいなかった。
今何時だろう…一体何時間経ったのだろう…。
身体を動かそうとしても身体中に痛みが走って全く動いてはくれない。

こんな時でもやっぱりどうして景を怒られてしまったのか。と考えてしまっていた。
それでも何ひとつ理由がわからなくってまた涙が溢れてくる。

「っく…ヒック…」

泣いたってこの状態が変わるわけないのに、景の前で我慢ぢていた涙が一気に溢れてくる。

「かず…やぁ」

ほら、また私はこうやって一也を頼ろうとしている。
でも、ダメなんだ…。
さっき薄れる意識の中景が言っていた。

「御幸に近寄るなら…俺あいつのこと殺しちまうかもな」

これ以上に恐ろしいことなんてきっとない。
一也の夢は私の夢でもある、なのにそれを壊されてしまう。
それだけは………絶対にダメ。
私が耐えればいい話なんだ。
ちゃんと一也と縁を切ってしまえば景はまた笑ってくれるハズだから…。


しばらく泣き続けてそのまま眠ってしまったみたいで、ガチャっと玄関の扉が開く音に目が覚めた。

「景…お帰りなさい」
「あぁ。」

そう言って私の隣を通り過ぎた景からは女物の香水の匂いがした。

「景…なんで?」
「あ?何がだよ」

女物の香水の匂い…と言うと景は私にとんでもないことを言った。









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