−景side−

俺は知っていた。
ルイがずっと御幸一也を見ていたのを。
中学高校と野球を続けていたから、御幸一也のことはモチロン知っていたし、青道の敏腕マネージャーとして活躍していたルイのことも知っていた。

『一也!!もうちょっとで甲子園だね!今年こそは…行こうね、甲子園』

そう御幸に言っているのをたまたま見たことがあった。
付き合ってんのかとも思う程2人の仲は良かった。
弱小校の俺たちは甲子園なんて夢のまた夢だとも思っていたのに、こいつ等は考えることが違うわ。なんてあの時はそんなに考えもしなかった。

でも、そう御幸に言っていたあいつに俺は惚れていた。
近寄ることなんてできないし、俺失恋だなー。なんて思っていたのに、違った。
特に意味もなく高校を卒業して進んだ先にあいつはいた。
昔のようなキラキラ輝いた笑顔で。

周りにはたくさんの人がいたが、俺も勇気を振り絞って話かけるとやっぱりあの笑顔を俺にも向けてくれた。
それからどんどん距離を縮めて告白した。
きっと振られるっとわかっていたのに、ルイはよろしくお願いします。と言ってくれた。

俺は御幸に勝った気持ちでその時は満足だった。
同棲してから気がついた。ルイは俺じゃなくて御幸のことがきっと好きだ。
アルバムを見ても御幸でいっぱいで、あいつの所属するチームの試合は毎日必ず録画して、スコアまでつけて…
雑誌もそうだ、全部全部御幸が写っているものは必ずチェックしていた。

1回だけ理由を聞いたことがあったが、御幸の親や自分の親にちゃんと見せてあげたい!と言っていたから特に考えはしなかったが、違うんだよ。
テレビや雑誌に写る御幸を見る目は幼馴染に向けてじゃないだろ?

それから俺にドス黒い感情が流れるようになった。

ある日俺が帰ったら誰かと電話してて友達かと思うと一也。と言っていたので、あぁ御幸か。と思うと頭に段々血が上っていた。
気がつくと俺はあいつのことを殴っていた。

俺のなかで何かが崩れた音がした。

それから毎日毎日…俺は殴り続けた。
日に日に痩せていくのもわかっていたのに、俺は手を上げることをやめなかった。
いや、やめられなかった。

ただ、笑ってるお前が見たかっただけなんだ。
なのにもう笑うドコロか泣くこともなくなった。


なぁ、俺…間違ってんのか?


−景side end−








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