「一也?…どこ行くの?」
「このままお前のこと返せっかよ」
「ダメっ!!帰らないと…私っ!!!」

私が帰らないと景がおかしくなっちゃう!!と言って来た道を引き返そうと一也の腕を振りほどくが、倉持に捕まってしまう。

「いいから落ち着けって!!」
「離してっ!!!私帰らないとっ…」
「大丈夫だから!!俺たちを信じろって!!!」

それとも俺たちのこと信用できねーのか?なんて言われてしまった。
信用してると。1番信用してる人たちだよ、今も…昔も…。
それでも…景から離れることはきっと私にはできないんだよ。

「ルイ」

一也に呼ばれ、一瞬戸惑う。怒ったかな…一也も私のこと…怒鳴るのかな…。
そう考える自分が本当に腹立たしい。
一也はそんなことしない、いつも何をしたって怒鳴って私のこと怒ったりしたことなかったじゃない。それでも私の恐怖は消えてはくれない。

「俺たちさ、ルイに笑っててほしいんだよ」
「う、ん…」
「怒ってねーから聞いて?」
「本当…?」

本当。っと言って頭を撫でてくれた。
一也のこの顔は嘘はついていない。
とりあえず立ち話もあれだ、座って話そう。と哲さんに言われ近くの公園のベンチに座った。

「言いたくないかもしんねーけど…話してくれるか?」
「…うん」

一也にそう言われて景がおかしくなった経由を話し始めた。
初めて暴力を振るわれたこと、日に日に酷くなって行く行為、最後は優しくしてくれて本当はこんなことしたくないんじゃないかってこと。
一也もみんなも表情が段々こわばっているのがわかった。
それと、ご飯が一切食べれなくなったことも、外出も禁じられて学校にも行っていないこと、私の中にある全てを話した。

「…それって完全に典型的なDVじゃなーかよ」

純さんの言葉にハッとなる。
私の中ではテレビの中の話だと思っていたし、まさか自分がこんなことになっていたなんて…。

「で、ルイはどうしたい?」
「哲さん…」
「俺たちは何をできるかはわからないが、お前が望むなら協力することくらいなら可能なハズだ」

卒業したって、離れてたって哲さんは私たちの頼れるキャプテンだった。

「私…、正直どうしたらいいかわかりません」
「どういうことだよ」
「…あのまま景を放っておいたら…どうなるかわからないんです…。」
「…」
「このままじゃいけないこともわかってるんです。それでも…景から離れちゃ景が景じゃなくなってしまうみたいで…怖いんです」







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