もう本当にやばいと思った瞬間景の手が離れた。
酸素が急に身体に流れ込んできたのでむせながらも必死で呼吸をする。
自然と涙も流れる。
どうしてこうなったの?

「…ルイ………ごめん」

そう言って景はぎゅっと私の身体を抱きしめてくれた。
景の身体も震えていた。きっと私が景のことを不安にさせてしまったんだとその時は思っていた。

でもその後も何が理由かはわからないけど景は私に手を上げるようになった。
もちろんケータイもあのままだったので一也とも連絡は取ってなかった。
なのに寝ていても、普通に仲良くしていても…家にいると毎日のように暴力を振るわれていた。
痛々しく私の身体にはアザが増えていた。
でも景の優しさか理性か見える所にはアザはできなかったので学校は普通に通うことはできた。学校ではいつも通りの景。でも家に帰った途端豹変した。

そんな生活を送っていたからか、私は笑うことが減って景に恐怖を覚えるようになった。

「んだよっ!その目!!気に入らねー」

そう言って殴られることもあったが、恐怖心は増すばかりだった。
それでも景から離れようとはしなかった、私が離れてしまうと景が壊れてしまいそうで怖かったから。


「お前、もう学校行くな」
「えっ…どうして……」
「どうせ他の男や御幸と連絡取るんだろ、だったらずっと家にいろ」

唯一学校にいる間だけは心が休まっていたのに、それすら景は奪おうとするの?
それから私は外に出ることを禁じられてずっと家にいることになった。

これが私の地獄の始まりだった。






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