確か今朝の天気予報では雨は降らないって言ってたハズなのに、校舎を出ると土砂降りの雨。
これ天気予報外れたとかのレベルじゃないんだけど…
委員会で残っていた為、仲の良い友達は帰ってしまったし駅まで走って帰れる程自分に体力があるとは思えない…さてどうしようか。と悩んでる時間も勿体無く思えて来て濡れるのを覚悟して走りだそうと決めた。
「あれ?神谷ちゃんじゃん」
「御幸くん…」
「どうしたの?もしかしてこの雨の中走って帰るの?」
「え、あー…うん」
今年同じクラスになった御幸くん、特に接点もなかったし校内でも野球界でも人気者の彼と関わろうとも思ったことはなかった。
「俺寮だし、傘貸そうか?」
「いや…いいよ」
「そんな遠慮すんなって!な?」
そう笑顔で傘を押し付けられた…と言うとひどいかもしれないけど、半ば強制的に御幸くんは私に傘を押し付けて雨の中走って行ってしまった。
ちょっと!っと叫んでみるけど御幸くんの姿はあっと言う間に見えなくなってしまった。
寮まで返しに行ってもきっといいから、なんて言われてしまうことがわかったので大人しく御幸くんの傘を刺して家路を歩いた。
「御幸くん、昨日はありがとう」
「おぉ、全然良いって!風邪引いてねぇか?」
「おかげさまで」
じゃあ、ちゃんと返したから。と自分の席に戻ろうとするとガシっと腕を掴まれる。
「どうした…の?」
「俺さ、どうでも良い子には優しくしたりしねぇんだわ」
「ん?」
「俺蒼唯ちゃんとこと好きなんだけど」
降りしきる雨の中彼はどうやらとんでもない策略家だったようです。
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