ダイヤのエース | ナノ




隣の席の御幸くん。
特に話したこともなかったし、今年初めて同じクラスになって初めて席が近くなった。
休み時間はいつもスコアブックを見てるイメージがあったけど、実は授業中もこっそり見てたり、急に何かを書き出したと思ったら何か部活に関してのメモだったり、友達は…そんなにいないみたいでいつも同じ部活の倉持くんと一緒にいたり…

こうやって御幸くんを見てるとすごく野球が好きだってことがわかる。

「蒼唯さん悪いんだけど、ノート見せてもらってもいいかな?」

初めて声をかけられたのはこの時だった。

「えっ…私のでよければ…いいよ」
「サンキュ!マジ助かる!!!」

そう言ってノートを差し出すと御幸くんはとても素敵な笑顔で私にお礼を言ってくれた。
心臓がドキドキと痛い程に高鳴った。
こうして私は御幸くんに恋をした。

それから毎日毎授業御幸くんは私にノートを貸してくれ。と言ってくれるようになった。
そんな些細なことでも御幸くんの役に立てると思うと、私は前より見やすいようにノートを必死で取るようになった。

「蒼唯のノートいっつも見やすいな!すげぇわかりやすい!!」
「そ、そうかな…」
「マジマジ!!」

こんな会話ですら毎日幸せに思える私は単純だと笑われてしまわないだろうか…
毎日がとても楽しくて仕方なかった。

でも、1ヶ月も経つと席替えをする。と担任が言い出したのでショックで仕方なかった。
もう御幸くんにノートを見せてもらうように頼まれることもないのか…と。
私の楽しみが一つ無くなってしまうんだと思い、周りはとても楽しそうにしてるのに、私だけはどうしてもみんなみたいに笑うことはできなかった。

また御幸くんの隣になればいい。と思っていたのに、神様というものは残酷で御幸くんとの席はとても離れてしまった。




prev next
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -