ダイヤのエース | ナノ





長いこと切っていなかった髪を思い切って切ってみた。
伊佐敷と付き合ってきて、言われてたわけではないけどずっと伸ばしてきた髪はいつの間にか腰まできていた。
特に長いのが好きだったわけでもなかったし、頭が軽くなってすごくスッキリして逆に気持ちの切り替えになった。

学校に行くと友達からの評判は良く、小湊にも似合ってんじゃん。と言われ伊佐敷にも言ってもらえるかな?なんて思い、いつものように一緒にお昼を食べてても何も言われない…。

バカなのか、鈍感なのか。と言われると正直どっちも。
それでも…伊佐敷から言ってほしかったし、特に何にも言わないで過ごしていた。

「……髪、なんで切ったんだよ」
「えっ…ダメかな?」
「……前の方がよかった」

そんなことを自分の彼氏に目も合わさないで言われて平気な女の子が一体どこにいるんだろうか…。
少なくとも私には無理だった。
視界が涙で歪んできて、このままいるときっと泣いてしまうと思った私は何も言わずに立ち上がってその場を後にしようとすると、腕を掴まれて阻止される。

「どこ行くんだよ…」
「別に伊佐敷には関係、ないじゃんっ」
「関係ねーことねーだろ」

もう、どうしてこんなに女心わかってくれないんだろ。
ほっといてほしい時だって…あるんだよ。

「ほっといて、よ」
「んだよ、いいから座れって」

そう言って強く腕を引かれて伊佐敷に顔を覗き込まれる。

「っ!!!」
「…おい、何…泣いて…」

気がつくと我慢していた涙がポロポロと溢れ出ていた。
きっと変な奴だと思われても仕方ない。
でもショックだったんだ、仕方ないじゃない。

「な、泣くなよ…」

そう言ってギュっと抱きしめられた。

「誰の、せいだと…」
「…俺だよな」
「以外誰がいるの…」

わりぃ。と耳元でつぶやかれたけど、許す気にはなれない…。
どうして切っちゃったんだろ、伊佐敷に相談すればよかったかな…。

「別に似合ってねぇことないからな」
「えっ……」
「亮が蒼唯髪切って可愛くなったね。とか言いやがって腹立ったんだよっ」

ぎゅっと腕の力が強くなる。

「……そんなこと言われて俺も、すっげぇ可愛くなったと…思ったわけで…」
「伊佐敷…」
「ちくしょ…恥ずかしい………」
「ヤキモチ…?」
「っ!!そうだよっ!!!あー、腹立ってきたっ!!」
「ふふっ」
「…あのよ。」
「ん?」

そう言って私を抱きしめていた腕を解いて私の髪の毛先を触りながら

「すっげぇ可愛いと思う…」

なんて顔を真っ赤にしながら言ってくれた。
そんな顔見たら…私だって照れないハズがない……

「ば、ばかっ!!!」
「うっせぇ」

そう言ってまたそっと抱きしめてくれた。




私をすぐに届けたくて





「伊佐敷?」
「あぁ?」
「次は1番に伊佐敷に見せに行くね」
「………あぁ、そうしてくれ…‥……」

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