小さい頃は自然と彼氏ができて、学校帰りにデートしたり休みの日には何処かに出かけたりするのが当たり前だと思ってた。
でも私はそんな願いとっくに諦めていた。
だって私の彼氏は青道高校の野球部だから。
それでも平気と言えば嘘になる。
私だってみんなみたいに洋一と出かけてね!とか言ってみたい。
叶わないことだってわかって付き合ったハズなのに、人間とは良く深いもので、もっともっと…と段々なってしまう。
それでも洋一に文句を言うつもりも更々ない。
グラウンドで輝いてる彼を見てそんなこと言えるわけもない。
私が耐えれば…
「おい!蒼唯
聞いてんの?」
「あ、ごめん。ボーッとしてた…」
ったく…。と言って頭を撫でてくれる洋一の優しさにとても悲しくなった。
こんなに良く深でごめんね。ちゃんと我慢するから…洋一が離れちゃうのが1番嫌だから。
「蒼唯は倉持くんと出かけたりしないの?」
「出かけれるとわけないじゃん
倉持くん野球部なんだし
」
ハハハッっと笑う友達に少し殺意すら芽生えた。
そんなこと私が1番わかってるんだよ。と強く言えれば…私はそれでも満足だよ!そう言えたら…
その場にいることが辛くなってきて私は教室を出た。
特に行く当てもなく中庭にやってきた。
ここでよく洋一と一緒にご飯食べたりしただけで付き合った当初は満足だったのに…私はいつからこうなっちゃったんだろ…
「蒼唯ちゃんどうしたの?暗い顔して」
「御幸…」
「倉持と喧嘩でもした?」
「…違うよ」
その間スッゲーあやしいんだけど。と言って隣に座ってくる御幸に顔を見られないように顔を背ける。
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