ダイヤのエース | ナノ


高校生になって初めて彼氏ができた。
でも私は本当に好きな人ではなかった。
本当に好きな人とは結ばれるハズがない、初恋は叶わないって噂で聞いてしまったから…。

そうして初恋を諦めて逃げたんだ。それから何年も経って今日は高校の同窓会の日だった。
久しぶりにみんなに会える楽しみもあったけど、モチロン彼にも…。
昔から恋愛にあまり興味がなくて、付き合ったことなんて一切なかった私が恋をしてしまったのは野球部で人気の高い御幸一也だった。
あんな競争率の高い人と私が付き合うことはモチロン、仲良くなることなんて絶対に無理だと思って諦め、その時に友達に初恋は実らない。と言われたから尚更逃げた。

振られる悲しさを味わうには私にはきっと早いと思ったから。
そうは言ったものの、それから御幸くんに対してのような恋心が宿ることは私にはなかった。
何となく付き合ってみて、合わなかったら別れる。を繰り返してきて周りからはタラシだとか、遊んでる。なんて言われるようになったけどどうでもよかった。


「蒼唯っ!!久しぶりじゃんっ!!」
「久しぶりーっ!!高校卒業以来だもんね!!」

そう言ってクラスの仲間と久しぶりに再会して話してる中、遠くの席に座ってみんなに囲まれている御幸くんのことで頭がいっぱいだった。
彼の活躍はテレビや雑誌で見ていたのでよく知っていた。
高校生のときに比べて余計に人気があるように見えた。

「はぁ…」
「ため息なんかついてどうしたの?」
「えっ…」

神谷さん久しぶり。と言って半分くらい残っているグラスを持って隣に座ってきたのは正真正銘、今考えていた御幸くんがいた。

「み、ゆき…くん」
「どうしたの?ため息ついたら幸せ逃げるぞー」
「え、そんなため息ついて…た?」
「うん、なんか深刻そうにね」

見てて楽しかったけど。と言って笑う御幸くん。
やっぱり…カッコイイと思ってしまう、本当に…高校生の時よりもずっと大人っぽくなったなぁ…。

「なぁ、ちょっと2人で抜けねー?」

そう言ってくれた御幸くんに、えっ?と聞き返すも私の腕を掴んで外に歩いて行ってしまう。

心臓が痛いほどに高鳴る。



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