ダイヤのエース | ナノ




2年になって俺にも後輩というものができたわけで、野球部にも寮にも。
それだけじゃなくて普段の学校生活でも1年下の後輩はいるわけで誰が可愛い。なんて噂話は俺の耳にも入っていたが特に興味なんてなくて、後輩で同室の沢村の手をやくので精一杯だった。

「倉持先輩っ!!!」

教室でいつものように過ごしているといきなり呼ばれドアの方を見ると手をやいている後輩沢村がいた。

「んだよ、なんかあったのか?」
「いえっ!特に用はありません!!たまたま通ったので声をかけただけです!!」

俺はお前みたいに暇じゃねーんだよ。と言ってやろうとすると沢村の後ろからヒョコっと女の子が現れた。

「沢村くんっ!!用事ないのに2年生の教室来たらダメって先生に言われたでしょ!!」
「え…そうだった……かな?」
「かな。じゃないよ!!言ってたって!!!」

そう沢村に声をかける女子は噂話にも上がっていた1年の神谷蒼唯だった。
噂通り正直可愛い…そのまま神谷はすいませんでした。と沢村を連れて自分の教室に帰って行った。

やべぇ…惚れちまったかもしんねー…。
柄にもなく、ずっと野球のことしか頭になかった自分にとって衝撃だった。
ずっと野球漬けの毎日で、野球するために青道に入ったんだから。と恋愛なんて一切興味を示さなかった。
御幸程ではないけど俺だってそれなりに告白だってされてたけど、毎回断ってたってゆーのに…畜生、沢村のバカのせいだろ、コレ。


放課後練習中も考えるのは神谷のことばかりでプレーに集中できず先輩にどやされた。

「倉持先輩今日調子悪いんっすか?」
「うっせー。バカ」
「なっ!!!バカとはなんですかっ!!!」

バカじゃねーかよ。と言って部室に戻ろうと歩き始めると目の前に誰か立っていた。
暗くてよく見えなかったため近寄ってみると、神谷がいた。

「神谷……」
「えっ!!先輩私の名前知っててくれたんですね…嬉しい…」
「どうしたこんな遅くに。早く帰んねーと親心配するぞ?」
「あ、はい…でもどうしても先輩に伝えたいことがあって…」

伝えたいこと?今日初めて会った奴に伝えることなんてあるのかよ。と思いそのまま黙っていると、バッと赤く染まった顔を上げて俺を見ると

「私、ずっと先輩のこと見てましたっ!ずっと憧れて…今日初めて面と向かって話して…あの、迷惑だとはわかっているんですけど…ずっと先輩のこと好きでした!!!」




あなたが無邪気に微笑んだ



そう言った神谷をそっと抱きしめて耳元で呟いた。

「俺も…今日神谷に一目惚れした…」




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