ダイヤのエース | ナノ




最近なんだかモヤモヤする。
何故かっていうと、きっと私の彼でもある伊佐敷純が野球部で活躍するようになったからか、ギャラリーに女の子の数が半端ない。
昔は"狂犬"なんて言われて誰も近寄ろうともしなかったのに、活躍するようになった途端これだ。

ずっと応援して、ずっと支えてきたつもりだった。
そんな伊佐敷が告白してくれた時は本当に嬉しかった。
だからきっと舞い上がってたのかもしれない。
伊佐敷に女の子が近寄ることなんてないって思ってた自分がバカみたいだし、それよりも女の子に話しかけられて鼻の下伸ばしてる伊佐敷を見ると…すっごくムカつく。

−俺はお前の支えがあったからこうやって頑張れた!

そんなこと言ってたのどこのどいつだったかな…。
こんな小さいことでイライラしてる私自身がとても腹立たしい。

「ちょっと、すっごいブサイクな顔になってるよ?」
「うるさい、小湊」
「まぁ、あれじゃ仕方ない…か」

そう言って伊佐敷を遠くから睨んでいる私の前に小湊がからかいにやって来た。
伊佐敷と付き合った時に1番に気づかれたほど、小湊の観察眼はすごいと思うがそれが時々イヤでしかない。

「最近純モテモテだねー」
「そうですねー、羨ましい限りですねー」
「ふふっ、完全棒読みじゃん」
「うるさい…今はほっといて」
「ほっといてって言われると構いたくなるんだよねー」

もう本当に今小湊に変なことを言われるときっと泣いてしまう。
伊佐敷は私のことだけ見てればいいんだ。なんて思っていた私は本当に強欲だと思う。
きっと今自分で思ってるよりも真っ黒な感情が出てると思う。
それでも仕方ないじゃん…今伊佐敷の周りにいる子達は、伊佐敷がずっと頑張ってた姿しらないんだよ?
必死に毎日バット振って、毎日暗くなっても白球追いかけて、必死になって頑張ってきた姿じゃなくて、今活躍してるからそうやって周りに集まってくれてるんだよ?

ずっと近くで見てきた私より…今しか見てないその子達のほうがいいの?

なんだか本当に泣いてしまいそうで机に伏せてそっと目をつぶった。



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