ダイヤのエース | ナノ




こうやって自分の彼氏がパパラッチに写真を撮られてニュースになっているのは一体何回目なんだろう。
こうやって一也が家に帰らなかったのは一体何十回目だろうか。
高校を卒業して一也がプロで活躍するようになって同棲を始めたのがもう2年になる。
結婚の話も少し出ていたのはもう随分前のようだ。
広い広い部屋に一人で毎日一也の帰りを待つ。

どうして毎日毎日こんなに泣きそうになっているのを堪えないといけないんだろうか。

「おい、神谷、大丈夫かよ…」

一也の様子がおかしくなってから倉持が心配して家に来てくれるが、決して弱音は吐かない。
この気持ちを吐き出してしまうと…戻れない気がする。

「大丈夫だって!仕方ないよ、一也売れっ子だもの」
「強がり聞きたくて来てんじゃねーっての…お前飯食ってんのか?」
「強がってなんてないってば!食べてる…よ」

ゼッテー食ってねーだろ。っと言われそう言えば私最後いつご飯食べたっけなんて思ってしまうほど最近一也のことばかり考えてる。

私は一也のこと信じて待つしかないんだから…
一也は何があっても帰って来てくれるって信じてる。
きっと今詰め込んで忙しいんだ。きっとそうだよ…。

「なぁ、このままだと神谷倒れっぞ?」
「大丈夫だって!倉持は昔から心配性なんだから…」

用事があるとかで倉持はすぐに帰ってしまったが、私は変わらず何をする気も起きない。
仕事も最近休みがちになっているし、このままじゃダメだってわかっているのに…

そのままリビングのソファで過ごしていると、玄関で鍵の開く音がした、一也が帰って来た。

「か、ず…」
「ん?電気も付けないで何やってんの?」

そう言って笑ってくれる一也は何も変わってない。
変わってないって思っても、私の中では変わってしまってるような気がして仕方ない一也。

「どうした…って、蒼唯……痩せた?」
「ちょっと…体調悪くて、さ」
「大丈夫なの?」

一也のせいだって言ってやりたい。
一也のせいでこうなったって叫んで殴ってやりたい。
でも私にはできない…。

「一也…最近帰って来ないね…忙しいの?」
「あ、あぁ…色々詰め込んでてな…」
「そっか…無理しないで…ね」

おう。っと言って一人寝室に向かってしまった。

ねぇ、一也…貴方の優しさはどこに消えてしまったのですか?



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