ダイヤのエース | ナノ




青道高校野球部主将の哲さん。
私にとってはただの憧れでしかなかった存在なのに、同じクラスの沢村くんに言われて試合を見に行った時にたまたま声をかけられた。

「沢村の知り合いか?今日は応援ありがとう」
「ゆ、結城先輩っ!!いえ、あの…カッコよかった、です…」
「ありがとう」

試合中の哲さんとは違い微笑んでもらえたことに凄く喜びを感じて沢村くんにすごく感謝した。
それから度々野球部の練習も見に行くようになると哲さんは私に声をかけてくれるようになった。

それから仲良くなり、帰りが遅いと言うことで送ってもらっていた時、哲さんに告白された。
きっと夢だと思ったが、哲さんの真剣な顔を見て現実だと…。
野球中心の生活を送っているから出かけたりはできないが、気持ちは本物だ。と言われた。
それでも私は哲さんといれるだけで幸せだった。

こうして私と哲さんの交際が始まった。
相変わらず毎日野球漬けの哲さん。
私はよほどの用事がない限り毎日練習は見に行って、毎日哲さんの帰っていた。
グラウンドで走っている哲さんは本当にかっこいい。

「はぁー、すごい…」
「お、哲の彼女じゃねーか」
「伊佐敷先輩」

いつものようにギャラリーでバッティング練習を見ていると伊佐敷先輩に声をかけられた。

「お疲れ様です」
「あぁ、っつーか毎日毎日飽きずに見に来れんな、暑くねーの?」
「ちょっと暑いですけど、これくらい平気です!」

ははっ、哲も愛されてんなぁ。と言って先輩は練習に戻った。


「哲さんっ!お疲れ様です!」

いつものように校門で待っていると今日は少し早めに来てくれた。

「あぁ、いつも悪いな遅くまで…」
「いえ、私が好きでしていることなので」

恥ずかしがり屋の哲さんだけど、帰り道はいつも手をつないでくれる。

「そういえば…蒼唯」
「はい、どうかしました?」
「お前は…その、キス…をしたいと思ったことはあるか?」

いきなりの哲さんの発言に驚き立ち止まってしまう。

「ど、うしたんですか…」
「いや、純や小湊に言われてな…」

うん、伊佐敷先輩も小湊先輩も何言ってくれてんだ。

「俺はきちんと順を追ってと思っていたのだが、今は違うだろっと言われた」

哲さんはそれでいいと私は思います…本当に……。
頭の中で色々考えてると哲さんの手が離れて私の身体をそっと抱きしめる。

「て、哲さんっ!?」
「俺は蒼唯のこと…ちゃんと好きだからな」
「私も…です」

そうか。と微笑んでくれる哲さんの声は初めて話した時のように優しいものだった。
そっと肩を掴んで私の身体を離すと哲さんの顔が近づいてくる。
ぎゅっと目をつぶると私の唇と哲さんの唇がそっと触れ合う。
短いキス、離れてはまた触れ合うキスが続く。

「悪いな…いきなり…」
「いえ…その、嬉しかったですよ」

哲さんの顔が離れた時に顔を見るといつもポーカーフェイスの哲さんの顔が少し赤くなっていた気がした。



次第に愛に見えてくる



「何故だか蒼唯のこと好きと言う気持ちが強くなった気がする」
「っ!!!…私も…です」

不器用でも哲さんからの愛なら…私はなんでも嬉しいです。




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