ダイヤのエース | ナノ




ねぇ、私のこと好き?そんなセリフをよくドラマやアニメで見るけど、実際聞ける人なんて少ないんじゃないかって思う。私は一也にそれは聞けない。
別に不満があるわけでも不安になってるわけでもない。聞きたくないわけでもない。
いつも練習で忙しいし、3年生が引退してキャプテンになってからは余計に忙しくて連絡は正直ないに等しいくらいしかもらえない。
私が一也の負担になりたくないし、もっと連絡してよ!なんて言えない。

「それでも不安になるんだけどどうしたらいいかな、倉持ぃ」
「うっせ!!何で俺に言ってんだよ」
「だって、本人に言えないじゃん…」
「だからって俺に言ってどーにかなんのかよ」
「………なりません」

意気地なしの為こうしてなんかあったらいつも倉持に話を聞いてもらってるけど、こうして毎日怒られては、落ち込んでいた。
他の子みたいに野球と私どっちが!!なんて重たい子にはなりたくないし、そんなこと思ったことはない。
実際告白した時にも言われたし…。それでもいいって言ったには私だけど、やっぱり…。

「で?御幸はどこ行ったんだよ」
「お呼び出し…」
「ヒャハっ、相変わらずモテモテだな、お前の彼氏様は!!」

笑い事じゃない…。今日のお呼び出しの女の子もすごく可愛い子だったし、一也の気持ちがその子に行ったらどうしよう…なんて思うと無駄に落ち込んで仕方ない。

喧嘩したわけじゃない、普段お昼休みも一緒にご飯食べてるし、会話がないわけでもない。まぁよくお呼び出しされてて席を外してることが多いけど…。
一也がモテるのも、お呼び出しされてるのも付き合う前からわかってた。だから私も焦って告白してしまったとこもある。
一也の野球してる姿も、チームメイトと楽しそうに笑ってる笑顔も、必死にスコアブックを見て考えてる野球バカなとこも全部全部が好きでたまらなかった。

「私じゃ、もう…ダメなのかなぁ…」
「は?んだよ、それ」
「蒼唯?」
「っ!!かず、や…」

噂をすれば何とやら…お呼び出しから帰って来たのか一也が目の前にいて驚きを隠せなかった。気のせいか…少し顔が不機嫌…かな?

「ちょっと来て」そう言われたのと同時に腕を引かれそのまま教室から連れ出された。




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