ダイヤのエース | ナノ





部活に必死になってる倉持のことを好きになったから、こうやって付き合って、傍で支えてきてるつもりだったのに。
いつの間にか私は欲張りになってしまって、たまには私の方も見てよ。なんて思うようになってしまった。
倉持と付き合う時に決めていた、倉持の目が私に向かないことを嫌になってしまったら別れる。
こんなに早く来るなんて思ってもみなかった。

人間は欲張りだ、とは本当にそのとおりだと思った。

「ごめん、倉持。もう…別れてくれないかな?」

涙を必死に堪えてるつもりだけど私の顔はきっと酷く歪んでいる気しかしない。
手の震えも倉持にバレているんじゃないか。ってくらい震えている。

「は?急になんだよ…」
「もう、倉持の傍にはいられないの」
「意味わかんねェっての」

蒼唯は俺のこと嫌いになったのか?そう言う倉持に対して違う、寧ろ好きすぎておかしくなるくらいだよ!と声を荒らげて言いたいのに、でもダメなんだよ。

「ちが…」
「じゃあ何で?」
「言えない…」
「俺が納得する説明しろよ」

倉持の声は酷く弱弱しくて顔を上げてみると、今までに見たことないくらい悲しそうな顔をした倉持がいて、何故か涙が出てきた。
私が倉持にこんな顔をさせてしまっているんだ。そんな罪悪感に襲われて。

「んで蒼唯が泣いてんだよ…」
「ごめ…ん」

私の頬をそっと伝った涙を倉持が拭ってくれて、いつもみたいにそっと抱き寄せてくれた。
あぁ、こうやって倉持に抱きしめてもらえるのが何より幸せだなぁ。なんて別れを切り出してから実感してしまった。

「くら、もち…あのね、」
「おう」
「本当は、別れ…たくない」
「おう」
「でもっ、倉持が…私のこと……見えて、ない気がして…」
「っ!!」
「だ、から…怖くて…」

もういい。そう倉持が言ったのと同時に強く強く抱きしめられた。

「気づいてやれなくて、わりィ。俺も必死だったからよ…。
でも…俺のワガママかもしれねェけど別れるなんて…言うなよ」

倉持は私の決意なんて簡単に打破してしまって、私はまた涙を流しながら倉持の腕に縋った。






ひとつのサヨウナラ



ごめんね、倉持。
私思ってた以上に倉持のこと大切みたいだよ。



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