ダイヤのエース | ナノ




最近休み時間に彼氏である洋一の口からは若菜と言う単語がよくでてくるようになった。
同じ学年にそれらしい子もいないし、違う学年だったとしてもあの外見だ、他人を寄せ付けるわけがない。
友達なんて言える存在はモチロンいないからか、常に御幸と過ごしてるハズなのに、なんで女の子の名前が出てくるのか私には不思議でたまらなかった。

きっと御幸に聞いた所で絶対に教えてくれないし、もしウワキと言う部類のモノだったとしよう。私は耐えられる自信なんて微塵もなかった。

「おい御幸聞いてくれよ、昨日若菜がよぉ」
「若菜若菜ってうっせぇなぁ!!俺はスコア見直してんだよ!!蒼唯に構ってもらえばいいだろっ!!」

今日もこうやって若菜の話をする洋一に次第に近寄ることも嫌になり最近口を聞いてないような気がする…。

若菜って、本当に誰なのよっ。
ずっと洋一はお前が1番だーとか、すっげぇ好きとか…私にだけじゃなかったのかな?
走馬灯の様に洋一との会話とか思い出が蘇ってくる。
あー、なんか別れる前提みたいになってるじゃん。

「蒼唯」
「よ、ういち…何?」
「何って、お前最近俺のこと避けてねぇか?」
「そんなことない、よ…私だって忙しいんだって…」

いざ洋一を目の前にすると余計に悲しくなってきた。
いてもたってもいられず愛永を呼ぶ洋一を無視して私は教室を出た。

「おいって、何か怒ってんのか?」
「怒ってないってば、着いてこないでよ」

それだけで逃げられると思った私がバカだった。
いつだって洋一は喧嘩した時もお互いが納得するまでとことん話し合いをする男だった。
だから今回もちゃんと話をつけるまでこうやってどこまでも着いてくるつもりなのだろう。
でも生憎私は現実を受け止められる程大人じゃない。

「なぁ待てって」
「もうっ!しつこいって!!」

振り向きもせず歩いていた私に痺れを切らせて腕を掴んできた洋一に対してなぜか声を荒らげてしまった、私はモチロン洋一も驚いてパッと腕を話された瞬間に私はまたその場から逃げ出した。

先生に廊下は走るな!と叫ばれても私は無視して走り続けた。
こうやって真剣に走ることなんて滅多にないし息が切れて苦しい、足ももう縺れてこけてしまいそうだけど、それでも洋一と向き合いたくなくて必死になって走っていいると気がついたら中庭が見えた。
木陰もあるしきっと見つからないと思って中庭に逃げ込もうとするとまた後ろから腕を引かれた。
先生に見つかって怒られるのだと思って振り返るとそこには洋一がいた。

「ちょ、なん…で?」
「うっせぇ、急に走り出してんじゃねぇよ」
「な、んで…はぁ、追いかけて…?」

息が切れて途切れとぎれにか話せない私と比べて息一つ切らせない洋一にこいつは化物かとも思ってしまう程の体力の持ち主だと実感させられた。



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