ダイヤのエース | ナノ




しばらく歩くとどうやら寮にやってきたようで部屋の中に入って行ったと思うとカチャっと鍵を閉めて振り向いた倉持の顔はやはりいつも言い合いしていた時よりもずっと怖い顔をしていた。

「お前さ、マジ何なんだよ」
「っ…何がよ」
「っざけんな!」

ドンっと私の顔の横に倉持が強く腕を付き、さっきよりも近い距離で睨まれる。
所謂壁ドンってこれかな…なんて考えてる余裕もなく、私の心臓は恐怖もあったのかもしれないけど倉持との距離が近いことにドキドキぢていた。

「何でそんな、怒ってんのよ…」
「お前、御幸のこと好きだから俺とこうやって関わってたのかよ」
「はい?」
「どうなんだよっ!」
「ちょっと待って!私がいつ御幸のこと好きって言ったよ!」
「んなもんお前の態度見てたらわかるっつーの!」
「わかってないじゃないっ!私が好きなのは倉持だって…の?」

いきなり意味のわからないことを言われてしまってつい頭に血が上ってしまって言ってしまった…。
恐る恐る倉持の顔を見てみると意味がわからなかったのかキョトンとしていた。

「今…なんて?」
「っ!なんにもないっ!」

そう言って倉持から離れようと腕の付いていない方に逃げようとするとドンっと大きな音を立てて倉持の両腕に挟まれた。
逃げ場は奪われてしまった。

「なぁ、なんて言った?」
「な、んにも…ないって、ば」
「もう一回言ってくれよ」
「やだっ」
「俺も蒼唯のこと好きだ」
「っ!!」

グイっと倉持の顔が近くなって、私の思ってもいない言葉が聞こえた。
きっと今顔が真っ赤だと思う。
まさかこうやって自分の好きな人に顔が近くにある状態だけでも信じられないのに、倉持が…私のこと好き?

「なぁ、蒼唯は?」
「っ…」
「なぁ」
「……も、……」
「聞こえない」
「私も倉持が好きっ」
「ん、よくできました」

そう言って倉持の唇が私の唇に乱暴に、でも優しく塞いだ。



胸のたかなり



こうやってドキドキするのはきっとこの先倉持だけだと思う。



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