滅多に風邪を引かないことが取り柄だったのに、それなのに夏も目前の今急に体調を壊して学校を休んだ。
純に風邪引いた、休むね。とだけLINEを入れてそっと目を閉じた。
こうやって純と会えないのはいつぶりだろうか。
土日も練習を見に行って一緒にいれる時間は帰り道だけだったけど、私はそれでも野球を頑張ってる純が大好きだから特に不満も何もなかった。
そんなことを思うといつの間にか眠っていたみたいで夢を見た。
純といつものように笑い合ってる。
でも何か純の様子がおかしい…。
「純、どうしたの?」
「…蒼唯わりぃ。別れてくれねぇか?」
「えっ……ど、うして…」
「もうお前と一緒にこの先やっていける自信ねぇんだわ」
「どうしてっ」
「お前は他の奴と一緒にいる方が幸せになれるぜ、きっと」
「私っ!純とじゃなきゃ幸せになんてなれないよっ」
「じゃあな」
やだっ純っ!行かないでよっ!!!純っ!!
「……っ!……ぃ!」
誰かが叫んでる…そんなとこじゃないの、純がっ純がっ!
「…ぃ!………蒼唯っ!!」
バッと目を覚ますと純が目の前にいた。
何故かとても焦ってるように見えた。
「じゅ、ん?」
「どうしたんだよ、うなされてたぞ?」
「っ!純っ!!」
目の前に純がいることに驚いたけど、それよりも喜びの方が大きかった私は飛び起きて純に抱きついた。
もしかしたら振り払われてしまかもしれない。そんなことを脳裏に浮かべながらもギュっと強く純の背中に回した手に力を込めた。
「っ!どーしたんだよ、いきなり…」
「純っ…純やだよっ、純…」
「ったく、怖い夢でも見たのか?」
「……うん」
大丈夫だから寝てろ。と言って私の身体を離そうとする純に逆らって力が入らないが少しの抵抗をすると仕方ねぇな。と呟いて純の膝の上に座らされたと思ったらぎゅっと強く抱きしめてくれた。
純の体温が心地よくてなんだか瞼が重たくなってきた。
囁く子守唄「蒼唯?……ったく、こんなとこで寝てんじゃねぇよ」
そっと純が私をベットに寝かせてしばらく寝顔を見ていると先ほどみたいにうなされるのではなく幸せに微笑んでいたとか。
「おやすみ、蒼唯」
私のおでこにそっとキスをして呟いた。
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