「そういえば純さん、あの人とはどうなんですか?その後」
イキナリ伊佐敷の隣に座っていた御幸の爆弾発言に私はむせてしまった。
「大丈夫かよ…っつーか御幸ゴラァ!イキナリ何なんだよ!!!」
「いや、前に呑んだ時に言ってたじゃないですか!ずっと気になってる子いるって!」
え…何それ……そんなの一言も聞いてないんだけ…
確かに伊佐敷に好きな人がいることを知れたら諦めが付くとは思ってたけどイキナリすぎて頭が着いていかない。
「なんにもねーっつの!」
「えー教えてくれたっていいじゃないですかー、てか蒼唯さん?!!顔色悪いっすよ!!!」
御幸に声をかけられてハッとなり大丈夫だよー、と笑って見るけど笑えている自信なんて一切なかった。
伊佐敷も心配そうに顔を覗きこんでくるけどそんなことをされると余計に泣きそうになった。
「ちょっと外の空気吸ってくるね」
そう言って席をたちそのまま外に出た。そっか、伊佐敷好きな人いたんだね。
これで長い長い片思いも終わりか…なんて思っているとやっぱり悔しくて涙が溢れ出てきた。
ダメだ、泣きやめ。こんなんじゃ戻れなくなる。
そう思っても一度溢れ出た涙は止まることを知らなくて逆にどんどん溢れ出てくる。
「っ!??蒼唯!??何泣いてんだよっ!!!」
どうして貴方はいつも私が一人で泣きたい時にタイミングよく現れるの?
夏の決勝戦の後もそうだった。選手達と涙を流せなかった私は誰もいない屋上で泣いていた時も伊佐敷は今みたいに私の前に現れた。
「なんにも…ないっ」
「んなわけねーだろうがっ!!!」
「い、さしきには…関係ないじゃないっ」
「関係ねー訳ねーだろー!!好きな女が泣いてんのにほっとけねーだろーがっ!!!」
え…今なんて?そう聞くよりも早く伊佐敷が私を抱きしめた。
全然頭が着いて来なくて気がついたら涙は止まっていた。
「俺…ずっとお前の事好きだったんだよ…」
「嘘…」
「嘘じゃねーよ」
そう伊佐敷言われて止まっていた涙がまた溢れ出てきた。
「っおい!そんな嫌だったか!?」
「違うよ、ばかっ…嬉しいんだよー」
あの時言えなかったけど「私もずっと伊佐敷のこと好きだったよ」
「え、まじかよ…俺今すげー幸せだわ」
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