蒼唯と結婚してもう何年になるんだろうか。
高校卒業してすぐにプロ入りして会う時間も少なくなり一緒に住もう。と言い出したのは俺からだった。
一緒に済んだ所で過ごす時間は少なかったし、たくさん蒼唯に不安な思いもさせた。
それなりに期待もされて先輩達に飲み会にも誘われて一度パパラッチに人気女優と写真を撮られたこともあって、蒼唯はニコニコしててくれたけど段々窶れて行くのが見えてしまって泣かせてしまったことがあって結婚を決めたんだったな。
形だけのもので安心しろ。なんて俺は言うことはできなかったけど俺の帰る場所蒼唯だけだった。
「御幸よぉ、もしあいつが浮気してたらどーすんだよ」
「ん?浮気なんてするわけねぇだろ」
「ったく、どこからそんな自信来るんだよ」
「ははは!だって俺だもん!」
「意味わかんねぇっての」
旧友の倉持と会った時にそんな話をしたことがあった。
もちろん浮気されんじゃねぇか。って思ったこともあったけど、それを言ってしまうとお互い様だ。
「俺はあいつのこと信じてんだって」
「ヒャハ!その油断が仇になりゃいいのになぁ」
「相変わらず性格わりぃな」
「ヒャハ!うっせーっての!」
毎日毎日忙しくて帰れない時もたまにはある。いや…最近は多い。
それでも文句の一つも言わずにちゃんと家で待っててくれる蒼唯は凄いと改めて思わされた。
俺はあいつに何をしてやれるんだろうか。とか色々考えてみて聞いてみたこともあったけど
「私は一也が帰って来てくれたらそれだけでいいよ」
なんて出会った頃のままのあの笑顔で言ってくれた。
こうやっていつも俺の隣で笑ってくれてた蒼唯の笑顔に何度救われたことか。
「ただいま」
「一也!おかえり!!」
おかえりなさい貴方「ただいま、蒼唯」
「今日の試合すごかったね!一也カッコよかった!」
「さんきゅ」
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