「純」
「んー?」
「大学…関西の方に行くっと本当?」
「…あぁ」
青道に入って純と出会って気がついたら惹かれてて、玉砕覚悟で告白してみた。
純は私の気持ちに答えてくれて、付き合うことになった。
もう2年近くの付き合いになるけど、私たちはお互い進路の話はしなかった。
でもクラスの子に言われて初めて知った。
純がまた遠くに行ってしまうってこと。
「…そっか、純ならきっと、大丈夫…だよ」
「わりぃな…何の相談も無しに」
「謝らないで、私だって何も話してないし…」
本当は嫌だって言いたいけど、そんなこと今更言った所でどうにもならない。
ずっと青道で野球を頑張ってきたのは知ってたし、大学でも野球を続けるのだってわかってたハズなのに、どうして離れようとするの?
そんなことを思っていると涙が溜まってきて目の前の純の顔が歪んで見えてきた。
「っ!!おいっ、何泣いてんだよ」
「な、泣いてないよっ!!」
「悪い…」
謝らないでって言ってるじゃないっ。と言おうとするものの、泣きたいわけじゃないのにどんどん涙が頬を伝って地面に落ちていく。
純は凄く驚いた顔をして、私の顔を覗き込もうとしてるけど見られたくない。
「じゅ、んは…野球、頑張ろうと…して、るのに…ごめ…」
ごめんね。と続けようとした私の言葉は純によって止められた。
身長は決して高くない純の胸にぎゅっと顔を押し付けられて、私の涙は純の制服にどんどん染み込んでいた。
「じゅ、んっ」
「悪い、俺自分のことしか考えてなかった…ずっと黙って応援してくれてた蒼唯に甘えてたのかもしれねぇ…」
「私、ずっと、応援してる…よ」
でも、もうお別れかな…、と呟くとバカ野郎!!と急に怒鳴られる。
「純?」
「俺はなぁ、そんな簡単に蒼唯のこと離すつもりねぇんだよっ!!」
「でも…」
「確かに、今以上に離れちまうし簡単には会えねぇかもしんねぇけど…俺は蒼唯のこと手放すつもりは更々ねぇんだよっ!!」
そう言ってくれる純に余計に涙が出てくる。
「っ…じゅ、ん…純…わ、たし……」
「嫌か?不安になる…よな」
「うん…」
きっと何年たっても「大学でクソ程活躍して蒼唯のこと迎えに行くからそれまで待ってろ」
「うんっ…あり、がと」
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