「愛してるよ」
「ありがとう」
「つれねぇよな、本当」
こうやって一也と一緒にることは幸せでたまらない。
ハズなのに、どうしても苦しくて罪悪感に襲われる。
「俺には蒼唯だけなんだって」
「もう、いいって。そんなこと」
こうやって愛の言葉を並べられたって素直になれない私はきっと一也からしたら可愛くない女だって言われてもおかしくない。
でも仕方ないじゃない。
私はどれだけ愛を述べられたって一也の1番にはなれないんだから。
高校を卒業してたまたま再開した一也。
初めはご飯に行ったりしてただの元クラスメイトだったハズなのに…ずっと一也の左薬指には指輪があったことに気がついていたから。
気がついたら一也と一緒にいることが増えて、お互いの家に行くことが増えて、身体の関係だって持ってしまった。
所謂浮気相手というやつだった。
「なぁ、俺と一緒になってよ」
「…無理だって」
「なんでだよ」
「自分が1番わかってるくせに」
そう言うと少し不機嫌な顔になったと思ったらそっと唇を塞がれた。
「んっ…」
「俺本当に蒼唯のこと好きなんだって」
「………」
ねぇ、一也知ってるよ。
その指輪とお揃いの物を持っているのは3年で同じクラスになったクラスで1番可愛かったあの子と一緒につけてる物でしょ?
噂にもなっていたし、仲良さそうに歩いてるのも一緒に過ごしてるのも、愛おしそうにあの子を見てたのも私は知ってたよ。
「じゃあ、その指輪外してから言ってよ」
「…そうだな」
こうやって指輪のことに何回も触れて来た。
それでも頑なに外そうとはしなかったよね。
指輪を愛おしそうに見つめるだけだもんね。
一也、私本当は一也のこと好きなんだよ、一緒になりたいよ。
でもそれは叶わない夢物語。
無防備な薬指私がそっと外したら一也は私を見てくれるのかな。
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