「んで、いつも仲良しのお二人さんはどうして喧嘩したのかな?」
俺でよかったら聞くから言ってみろ。なんて言う御幸は本当に優しい。その優しさがとても今は辛いんだよ…
「御幸はさ、彼女に叶えられないワガママ言われたらどうする?」
「何その意味深な質問…」
「いいから答えてよ」
んー、と首をかしげながら悩む御幸を見るときっと洋一も同じ反応をするのだ。となんとなく思ってしまった。
「こんな質問困るよね、ごめんね」
「いや…俺逹野球ばっかだし、きっと辛い思いさせてるって少しは考えるんだぜ?きっと倉持も一緒だと思うぞ」
ちゃんと言ってやれよ、きっと不安になってんのは蒼唯だけじゃないハズだから。そう言われて私の足は自然と洋一のいる教室へと向かっていた。
「洋一、話あるの…ちょっといい?」
「あぁ…」
そう言って普段は使われていない空き教室にやってきた。
「話って?」
「うん…」
「別れ話なら聞かねーからな」
「そんなんじゃないっ
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」
ならよかった。と言って椅子に腰を下ろす洋一の前に立ってしっかり目をみる。
「私不安なの」
「俺の所為?」
「違う」
「じゃあ何」
「私、もっと洋一と一緒に過ごしたいって思っちゃったの」
「はぁ?」
驚いて変な声を出す洋一、そりゃそうだ。こんなこと言ったことも素振りも今まで一切見せたことなかったから。
こんな私は嫌いになっちゃう?静かに応援できなくなった私はもう嫌い?
「ったく…お前。最近おかしいと思ってたんだよ」
「……」
「あからさまに無視してくるし…マジで別れ話かと思った。」
「そんなわけないじゃん」
「でも、安心した」
そう言うとギュッと鍛え上げた筋肉質の腕で私の身体をそっと包み込む。
「蒼唯絶対ワガママ言わないから、俺ずっと何か我慢させてるって思ってた。」
「してない…って言うと嘘になる」
「知ってる。俺に迷惑かけたくなかったからだろ?」
「……。」
「おーい、無視するなよー」
無視したくてしたんじゃなくて、洋一が私のこと理解してくれてたからそれが、嬉しくて涙が出てたから。
声を出したり顔を上げるとバレちゃうから…。
「よーいち…」
「ん?」
「ワガママでごめんね。」
口に出せない願い 「いーよ、てかもっとワガママになれ!叶えてやれることは絶対叶えてやっから!」
「ありがとう…」
「次のオフ…出かけっか。」
「っ!!!いいの?」
「おう、もちろん」
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