蒼唯と付き合うようになって、野球ばっかの俺の生活に色がついた気がする。
いや…野球ばっかなのは変わらねーけど、こうやって教室に行くと笑顔で純ちゃんおはよ。と言ってくれる彼女がいるだけですっげぇ幸せだと思う。
でも…蒼唯が他の男に笑いかけてんの見ると本当に腹が立つ。
腹が立つなんて問題じゃないかもしれねぇ。
おかしくなってしまってるんじゃないかと思い誰にも話せねぇ。
そんな俺の気持ちなんて一切知らず、あいつはまた笑っている。
あいつの前には亮介。
俺のこと見ろよ、亮介なんか見てんじゃねーよ…。
そう思うよりも先に足が勝手に動いていた。
「ちょ、純ちゃん!?」
気がついたら蒼唯の腕を掴んで俺は蒼唯の呼びかけにも答えずただ夢中に歩いていた。
授業開始のチャイムも廊下ですれ違った哲も無視してただただ歩いて屋上にやってきた。
「純…ちゃん?」
「………」
心配そうに俺の顔を覗こうとする蒼唯から顔を背ける。
「純ちゃん…どうしちゃったの?」
「お前…さ、本当に俺が好きなのか…」
もちろん!純ちゃんが1番だよ!と笑う蒼唯は本当に可愛い。と思う。
でも…今の俺の感情はドス黒いと思う。
「じゃあ、他の奴に笑うなよ」
「えっ……」
「他の奴見て笑ってんじゃねぇよっ!!!」
気がついたらそう叫んでいた、蒼唯はイキナリのことですっげぇビックリしていた。
「…純ちゃんが……望むなら…」
「っ!!!」
そう言ってくれた蒼唯の笑顔はすごく綺麗で、でもどこか刹那そうに俺の顔を見上げてくる。
愛おしく感じた俺は力強く、このまま潰してしまおうかと言うくらい強く、でも少し優しく蒼唯の身体をぎゅっと抱きしめた。
何かが狂い、乱れて枯れてきっと俺は狂ってしまったんだと思う。
このまま2人で消え去ってしまいたいと思ってしまう。
そんな俺のこと、お前は嫌いになっちまうか?
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