少し飲みすぎたせいか、外の空気が程よく心地良い。
「いやー、久しぶりにみんなに会ったからか飲みすぎちまったー」
「わ、私も…」
「そういえばさ、神谷さんって今彼氏いるの?」
「…いないよ」
そっか。と言って店の外にあったベンチに座った御幸くんの隣に座る。
高校生の時には遠すぎて手が届かない存在だと思っていた御幸くんと今2人っきりで話しているなんて昔の私はきっと想像もつかなかったと思う。
今こうやって御幸くんと2人で入れることが幸せでたまらない。
それだけで、こうやって2人っきりで過ごせるだけで、幸せだと思える私は本当に幸せだと思う。
「神谷さん、綺麗になったよね」
「そんなことないよー」
「いや、あるって!初め誰かわかんなかったし!」
「そんなこと…誰にでも言ってるでしょ?」
「言ってねーよ!俺そんなチャラく見える?」
そ、そんなことは…。と返答に困っていると隣でハッハッハ!と高らかに笑い私の髪をわしゃわしゃと撫でて、本当綺麗になったよ。と真剣な顔で言ってくれる御幸くんにまた心臓が高鳴る。
距離も近いし、この心臓の音が聞かれてしまうんではないかと心配になるほどに…。
「俺さ、ずっと神谷さんのこと気になってたんだよね」
「…えっ!?」
「そんな驚くこと?」
「えっ、だって…御幸くんが…私のこと、なんて…」
「ずっと好きだった。今日久しぶりに会えて、また好きになった」
俺と付き合ってよ、蒼唯。と名前も呼んでもらえて好き。だなんて言ってもらえて…飲みすぎたのかな?と1人でずっと考えていると、急に御幸くんとの距離が無くなった。
何が起きたのかと冷静に考えると、今…御幸くんにキスされている。
「っ!!!!」
「なぁ…俺じゃダメ?」
「み、ゆきくん…こそ……私でいいの?」
「蒼唯じゃねーとダメ。」
あの頃の私はただ幼くて私の初恋は何年もかけて、やっと叶った。そう呟くと隣で笑ってくれる御幸くん。
これ以上幸せなことなんて、きっとあるはずない。
prev next