「次は秋大だからなー…予定空いてたらまた見に来いよ」
「早めに言ってくれたら予定空けれるよ!」
こんなこと言われて期待しないとでも思ってるのかな?
私だって女の子なんだよ?本当御幸はずるいと思う。
「もうここで大丈夫だよ」
話し込んでいると気がついたら家の近くまで来ていた。
「いや、ちゃんと送るって」
「大丈夫だって!試合で疲れてるでしょ?」
全然余裕だから甘えなさい!と言う御幸はまるでお母さんのようだった。
「心配症の母親みたい」
「そこは兄貴にしてくれよ…」
御幸がお兄さんとか想像つかないんだけど…。と言うとコラ!っとデコピンされた。
もー!!!痛いじゃない!!と言って私も御幸にデコピンをしてやろうと思うと腕を掴まれる。
「ちょっと!!反則だって!!!」
「ハハッ!反則とかねーっての!」
そう言う御幸の顔がとても近くて目を合わせられず、下を向いてしまう。
「ん?どうした?」
「っ!!別に…」
「なんだよー、そんな反応されたら俺だって期待しちゃうじゃーん」
え?期待?なんの?御幸が何の期待するっていうの?
今は彼女とか作れないんでしょ?
部活が大変だから…。新キャプテンとして、正捕手として、4番バッターとして。
「何冗談言ってんのよ!もう、離してよ…」
「イヤだって言ったら?」
「冗談やめて…よ」
冗談なんかじゃねーよ。といきなり声の変わった御幸を見上げるととても真剣な顔をしていて、少しドキっと心臓が大きく動いた。
「俺さ、ずっと#name#のこと好きだったんだけど」
「は?何言ってんの?御幸は今は彼女作らないって…」
「あーあれ?聞いてたの?嘘だよ、あんなの」
それに俺は蒼唯のことしか見てなかったっての。と今度は少し照れながら笑って言ってくれた。
押し殺してきた想い 私が必死で押し殺してきた想いは、どうやら御幸も同じだったみたいで私は嬉しさのあまり御幸の胸にそのまま抱きついて少し泣いた。
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