ダイヤのエース | ナノ




「あの子さっき試合出てた子だよね!!」
「え、本当だ」
「こっち見てない?」
「気のせいだって…会ったこともないのに」

きっと人違いだって思っていたのにその子はどんどん近づいてくる。
後ろのピンクの髪の子は必死に止めようとしてるのに彼は無視して近づいてくる。

「ちょっとすいません!!!聞きたいことあるんっすけど!!」
「え、私…?」
「はいっ!!そうっす!!」
「え、あ…うん。何かな?」
「俺と会ったことありますか!!?」
「………」

この子。バカなのかな?
どう答えたらいいのかわからない…

「えっと…」
「おいっ!!沢村ァ!!テメェ何やってんだよっ!!!」
「げっ、倉持先輩…ちょ、痛いっすよ!!!」

そう言われて関節技を決められている、沢村…くん?

「他校の女子に絡んでんじゃねーよっ!若菜にチクんぞっ…って蒼唯?」
「よ、ういち…」
「えっ、知り合いっすか?先輩」
「うっせ、お前さっさと寮に帰ってろ!」

そう言って手を話したと思ったら今度は蹴られて泣く泣く歩いていった沢村くん。

「よう…久しぶりじゃん」
「うん、そうだね…」
「えっ、蒼唯知り合い?」
「うん…幼馴染、一応」

そっかー。じゃああっちで待ってるからゆっくりしゃべってて!と言われ洋一と2人になる。
気まずい…私も逃げたいのに、きっと逃げれない…。

「こうやって話すの久しぶり…だよな」
「そうだね…」
「いつぶりだっけ」
「あんたがおかしくなる前」
「…あの時は悪かったって」
「思ってないくせに…」

つくづく私って可愛くないと思う。
あの時本当にショックだった。
小さい頃に一緒にテレビで高校野球を見てた時に言ってくれたよね?俺が蒼唯を甲子園に連れて行ってやるよ!って。
それを忘れたのかと思ってずっとショックだった。

昔のことがあったから余計に話すのが嫌だった。
だからずっと避けてた。

なのにこうやって話す日が来るなんて…神様って意地悪ね。




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