同じクラスの伊佐敷に応援に来るように言われて、野球部の練習試合に来ていた。
夏も目前で伊佐敷も結城も気合いが入っていて、特に野球に興味のなかった私だったが少し興味があったから来てみたものの…暑い。
でもグラウンドのみんなの方が暑いはずだし、とグラウンドから外していた視線を戻した。
「ラッシャァァァァ!!!」
相変わらず伊佐敷はどこでもうるさいからすぐにわかる。
実はずっと伊佐敷のことが気になっていた私だけど、こうやって野球をしている伊佐敷を見るのは初めてだった。
悔しいけど…悔しいんだけど…カッコイイじゃん。
結局青道の圧勝で練習試合は終了した。
結城もボーッとしてそうなイメージだったのに打席に立つと別人のようなオーラを放っていたし、丹波もオドオドしてなかった。
それでもやっぱり贔屓目と言われても1番伊佐敷が輝いてるように見えた。
「お、神谷じゃねーか。どうだ!!俺の活躍!!!ちゃんと見てたか!!オラっ!!!」
「伊佐敷…お疲れ。それとうるさい…」
わ、わりぃ。とすぐにおとなしくなった伊佐敷の後ろから小湊もうるさい。っとチョップをお見舞いしていた。
気がついたら伊佐敷しかいなかったのに3年がゾロゾロと集まっていた。
「結城も小湊もお疲れ様」
「あぁ、だが今日は少しミートが甘かった」
「ホームラン打ったくせによく言うよ」
「あそこまで打球飛ぶとか凄いよね!!」
少し興奮してしまっていた私は結城と小湊のあのプレーはよかった!だとか2人を褒めているとこそっと小湊に純のことは言ってあげないの?っと耳打ちされた。
そう、小湊には実は気づかれていた…。
「い、言わないよっ!!恥ずかしいじゃん」
「そう?言ってあげると喜ぶと思うよ?」
純単純だしね、ほら言っておいで。と背中を押され目の前には伊佐敷。
「い、さしき…」
「あ?どうした?顔赤くねーか?」
「ちょ、ちょっと暑いだけっ!」
ったく…少女漫画好きなくせにこんな時なんで察してくれないのよ、このバカ。
「純、神谷のこと送ってあげなよ、誘ったの純でしょ」
「あぁ、そうしてやってくれ。神谷、今日はありがとう」
えっ!!2人共何言ってんの!!?小湊はわざとだとして…結城も何言ってんの!!
「ったくしゃーねーな。おい、行くぞ」
そう言って伊佐敷は先を歩いて行ったので後を追おうとすると小湊にちゃんとカッコ良かったって言ってあげなよ。なんて言われたので言わないよ!と言って伊佐敷の後を追った。
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