■ マイナイトインマイドリーム


顔を真っ赤に火照らせてしまっているままに、想いを告げた。

「……あたし…アンタのことが好き」

これはあたしの夢だけど。本気で彼に恋をした。
夢であるのが惜しくて堪らない。だって、現実の世界で彼くらい好きになれる人が居るとは思わないもの。きっと、夢から覚めてもあたしは彼を愛し続けてしまう気がする。他の男なんて目もくれなくなってしまいそう。
なら、夢の中に居られる間に愛し合いたいと思うから。口に出して想いを告げた。
(後から思い出せば「これはあたしの夢なんだから」って打算的な考えもあった気がする。あたしの夢なんだからあたしの思い通りにいくだろうって。でも、この夢が思い通りだったことってそう無かったのよね。)
彼はしばらく何も言わず、そして「そうか」とだけ言った。

「そうよ、気付かなかった?」
「…俺は悪魔だ。ニンゲンの血を啜る吸血鬼だ」
「……言われなくても、知ってるわよ。そんなこと」
「後悔するやも知れぬと解っていてもか」
「…そんなのわかんない……でも、あたしがアンタの事が好きなのは変わんないと思う」

後悔するかどうかで誰かを好きになるものじゃないじゃない。そんなの、その時にならないと分かんないもの。
それに、女の子から告白させてるんだから、男らしく潔く答えてよ。

「…わかった。俺も、誠意をもって答えよう。……俺は、お前のことを愛しく思う。しかし、悪魔に好かれてはニンゲンであるお前が不幸になってしまうと思っていた」
「そんなことない!! あたしはアンタが居るだけで嬉しいんだから!!」
「…フフ…感情とは別物だろうに」

そう言い切ったあたしの言葉に苦笑いしつつも、彼は何処か吹っ切れたように言った。

「……では、必ずお前を幸せにすると約束しよう」

そう言って彼はあたしの手をとり、キスをした。お姫様に誓いをたてるナイトのように。
あたしは頭で理解する前に焼け焦げてしまいそうなほどに、赤く、熱くなった。










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