■ オロかな種族


あるまーす。と、若干舌っ足らずに呼んでやると、かあっと顔をあかく染めて初な反応を示した。それに内心舌嘗めずりをしながら、下から目を潤ませつつ媚びるように見上げてやる。
頼り無さげに見るこの男が、心の奥底にいやらしい期待を抱いているのを知っている。我はただ、それを少し引きずり出してやるだけでいい。

幼稚に相手の服の裾を掴み、緩く引っ張る。勿論、上目遣いのオプションを添えて。それなりの身長差があるというのは非常に楽で良い。(此方の方が低いことが前提ではあるのだが。) 雄という生き物は大概征服欲が強いらしい。日頃威圧的に接し、たまの時に脆弱に見せれば大抵の雄はコロッと騙される。どうやら、この男も例外ではなかったらしい。恐る恐るといった風ではあるが、我の頬に手を触れさせ、ねつの隠った声で名を呼んだ。
あまりの順調さに笑いが込み上げてきたが、今それを表出せばこいつは我に帰り今までの行動が水の泡となるし、加えて次回からのガードが強固になるだろう。自分を抑えて、極力あどけない被護者の表情をつくるように努めた。
それに呆気なく乗せられ食い付くように口付けてきたこの男に、我は只、憐れみを感じずにはいられなかった。





オロかな種族






人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -