■ epimfium
後ろから、ぎゅっと腕の中にマオを抱き締める。それに対してマオはびくりと身動ぎしたが、気にせず腕に力を込めた。
僕より幼く見えるマオだけど、生きた年数は遠く及ばない。人間の年齢に置き換えると見た目通りの歳になるそうだけど、僕はやっぱり経験に差が出ると思う。それだけ長い時間を使って来たって事なんだから。
そう思うのだけど、腕の中のマオを見ると、そうでもないのかなとも思う。だって、とっても初心な反応をしてくれるから。
抱き締めた途端息を詰めて。背後からだから顔は見えないけど耳まで真っ赤になってるのは解る。それに、腕の辺りからドクドクと伝わってくる心臓の鼓動も、普通より少し速めだと思う。
何にせよ、そんなマオの反応が可愛くて。愛しいと感じる。
「アルマースっ、離せ!」
まるで僕の思考を読み取ったかのように、タイミング良くマオが暴れだした。それに合わせて僕も腕に力を込める。
「良いじゃない、別に。誰も見てないし」
「そういう問題ではない!!」
「嫌なわけじゃないんでしょ?」
マオの力なら抜け出す事なんて簡単なはず。でも、それをしないっていうのは、本当は嫌じゃないって事だよね?
「ね。大人しく抱かれててよ、マオ」
耳元で囁くように名前を呼ぶと、マオの身体が少し跳ねた。それからは一切大人しくなったマオに、僕は愉悦を感じ、その首筋に顔を埋めるようにして抱き直した。




epimfium

(花言葉:あなたを放さない)





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テーマ「人外ファンタジー」
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